突然変貌するのがドル/円
ニューヨークダウは、発表された5月の米雇用統計のうち、非農業部門就業者数が-34.5万人と予想の-52万人を大幅に上回ったため、雇用情勢の悪化ペースが鈍化してきたことを好感した買いが先行しました。
しかし、同時に発表された失業率は9.4%(予想9.2%)と25年9ヶ月ぶりの高水準に達し、雇用減少も17ヶ月連続で戦後最長記録に並んだことから警戒感が強まり、買い一巡後は売り買いが交錯し、結局前日比12.89ドル高の8,763.13ドルで取引を終えました。
米国債10年物利回りは、米雇用統計の非農業部門就業者数の減少幅が予想以上に少なかったことを受けて利回りが急上昇し、暫定値ながら前日比0.122%上げて3.832%で引けました。
原油価格は、同じく非農業部門就業者数の減少幅が予想以上に少なかったことを受けて、一時2008年11月5日以来となる70.32ドルまで買われましたが、その後は利益確定の動きが強まり反落し、前日比0.37ドル安の68.44ドルで引けました。
金価格は、同じく非農業部門就業者数の減少幅が予想以上に少なかったことから、いったん980ドル台まで買われましたが、米国債利回りの上昇を受けてドルが大きく反発したことから下落に転じ、前日比19.70ドル安の962.60ドルで取引を終えました。
為替市場では、これまでレンジ相場にくすぶっていたドル/円が、97.00を超えて爆発的に上昇したことから、他の通貨ペアは混乱しましたが、結局、ドルの全面高という形で終えました。
しかし、本来、ドル高に弱いはずのクロス円ですが、着実に上昇しており、それを考えますと、EUR/USDなど円以外の通貨は対ドルで再び強くなる(ドル安)可能性がある一方、金曜の主役であったドル/円は、まだまだここから上、99~100円近辺という手強いレベルを控えており、そうすんなりと続騰するのは難しいものと思われます。
言えることは、上げたという結果が出てから買っても遅いのがレンジ相場ですから、ドル/円はここから急にブル(強気)になるのも、少々考えものだと見ています。