これからの展開は
サルコジ仏大統領は、机をこぶしでたたきながら「(防衛策は)すべての国が関与すべきだ」と強調し、「それができないなら、フランスはユーロに対する態度を考え直さなければならない」とユーロ離脱の可能性を示唆したことは、政治の駆け引きには必要だったかもしれません。
しかし、後にこの発言は否定されたとはいえ、マーケットはEU主要国間の不協和音を察知し、さらにユーロからの逃避行動を強める結果になるものと思われます。
これは、単に投機筋のユーロ売りにとどまらず、投資家筋のユーロからの逃避行動をさらに加速させるものとなる見ています。
ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足を見てみますと、
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W (上がドル高、下がドル安)
86.00のレジスタンスも上抜いて先週引けており、ここから88.00、90.00を段階的に目指すものと思われます。
90.00は、かなり強い抵抗線ですので、一遍に上抜くのは難しいものと思われますが、そこまでは一本調子に上昇するものと思われます。
そして、U.S.Dollar Indexの構成比の中で57.6%と最も大きな割合を占めるEUR/USDが、今渦中にあることもあって、ドル高の牽引役となるものと思われます。
EUR/USDは、先週末のニューヨーククローズは1.2360となり、それまでの週足の実体のサポートであった、2008年11月17日(月)の東京の寄り付き水準である1.2526を大きく下回り、新たに売りサインが点灯しました。
当面の目標は、1.1900-1.2000近辺と見ています。
また、気になる5月11日時点のシカゴIMMのポジションですが、
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
(NON-COMMERCIALのLONGとSHORTのネット)
ユーロが113,890枚のショート、ポンドが72,188のショート、円が34,669枚のショートとなっており、ユーロショートがダントツに大きくなっており、これは大いに気になるところではあります。
しかし、ユーロのショートポジションが多いのは、純粋な投機ポジションもありますが、それ以上にいろいろなユーロ資産のリスクヘッジのためのショートも多いと思われ、EU諸国の財政問題が落ち着かない限りは、なかなかユーロショートのポジションは減らないものと思われます。
むしろ、EUR/USDがさらに下落すれば、一段とヘッジ的なショートポジションは増える可能性があります。
2001年の米同時多発テロに端を発した、2002年から2008年にかけてのドルからユーロへの資本流入があり、この間、約7,500ポイントものユーロ高になりました。
今は、その逆で、つまりユーロからドルへの逃避的な資本流出が昨年12月頃から始まったばかりで、既に約2,700ポイントの下落はしているものの、投資家の逃避行動はいったん始まるとそう簡単には終わりませんので、まだまだユーロ安は続くと見たほうが良いかと思われます。
一方、ドル/円は、方向感の定まらない中、91.00-94.00近辺のレンジが続くのではないかと見ています。
もちろん、EUR/JPYが売られれば、一時的には下押しされるものと思いますが、結局は戻してくるのではないかと考えています。
EUR/JPYについては、EUR/USDの動き次第ですが、EUR/USDの下落の可能性は高く、それに連れて、EUR/JPYも下がると見るのが素直ではないかと見ています。