ユーロ高円高
ニューヨークダウは、18日発表された独政府の空売り規制は、金融市場の混乱に歯止めを掛けることを意図したものでしたが、逆に同国の金融機関の財務懸念を裏付けた格好となり、かえって信用不安が強まりました。
また、同国の空売り規制がフランスなど他のユーロ圏諸国との調整なしに導入されたことが明らかになったことで、域内の足並みの乱れが表面化し、欧州の危機対応能力を疑問視する見方も広がって、投資家がリスク回避の姿勢を強め、今年最大の下げ幅となる前日比376.36ドル安の10,068.01ドルで取引を終えました。
米国債10年物利回りは、欧州株が軟調だったことに加えて、ニューヨークダウも大幅安となり、質への逃避から買われ(利回り低下)、暫定値ながら前日比0.157%下げて3.211%で引けました。
原油価格は、欧州の景気低迷が世界的な原油需要にマイナスとの見方が広がり、一時64.30ドルまで売られましたが、EUR/USDの上昇に連れ値を戻し、前日比1.86ドル安の68.01ドルで引けました。
金価格は、欧州株やニューヨークダウが軟調に推移したことで安全資産買い圧力がありましたが、EUR/USDが反発したことやニューヨークダウの下げ渋りとともに利益確定売りが強まり、前日比4.50ドル安の1,188.60ドルで取引を終えました。
為替相場では、ニューヨークダウの下落、米国債利回りの低下に、相関性の強いドル/円、クロス円の下落が目立った一方、EUR/AUDなどユーロクロスの買戻しが集中したことから、EUR/USDが急反発しました。
これまでの主役通貨であったユーロでの買戻しと、それまで脇役通貨に甘んじていた円が円高で一躍センターステージ(舞台中央)に踊り出たことが、主役通貨の交替なのか、あるいは、ひと相場の終わりを告げるサインなのか、今のところ判断が難しいところではあります。
しかし、今月だけで約1,200ポイントの下落を見たユーロは、欧州で起きた諸々の原因があってのことでわかりますが、ドル/円のここに来ての下落は、リスク回避の円買いとか、ニューヨークダウの下落、米国債10年物利回りの低下だけで、このまま続くものか判断がつきかねます。
いずれにしても、東京では、ドル/円、クロス円は、さらに売られるものと思いますが、一方で、急速にショートがたまるのではないかと見ています。