まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足を見てみましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
U.S.Dollar Indexの日足
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/?anticache=1297547080
(※週足、日足ともに、画面レーアウトが変わっています。ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
先週、77.00のサポートを下に抜け、週足で見ても、次のサポート76.00を目指しているものと思われます。
また、日足で見ると、下げ方が着実で、売り圧力の強さを感じます。
ただし、76.00近辺のサポートもきつそうで、いったんの反発を見るかもしれませんが、流れ的には、そのまま反発というよりも、再び76.00を試すことになると見ています。
したがい、基本的に、ドル安基調は続くものと思われます。
気になるのは、USD/CHF(ドル/スイスフラン)とUSD/CAD(ドル/カナダドル)です。
USD/CHFは史上最安値を更新中ですし、USD/CADは2007年11月につけた最安値0.9056近辺を目指しています。
いずれも、緊迫化する中東・北アフリカ情勢からのリスク回避の動きと思われます。
リスク回避という点から言えば、ドル/円も下落しても良さそうなものですが、なかなか下がらないところがドル/円らしい動きです。
先週も、ドル/円のストキャスティックスが買いになったとたんに、2日(火)から海外ファンドが、ドル/円を買い始めており、金曜には83.09まで買い上げられました。
しかし、その上げの過程で、83.00の輸出企業の売りオーダーを飲み込んだことで、マーケットのポジションが短時間でロングに偏ったため下げに転じ、引け値は82.32と結局上ヒゲを長く出した格好になり、ドル/円はいったん上を見たのではないかと見ています。
ドル/円は、基本的には、ドル余剰(ドルが余っている)の需給相場であり、なおかつ、3月は期末絡みの円買いが出るため、結局は下がるものと見ています。
マーケットでは81.00-84.00近辺のレンジ相場という意見が多いですが、既に過去5ヶ月間もそのレンジ内にいて、直近の1月、2月の月足は、さらに実体(ロウソク足の寄り付きと引け値の間の太い部分)が収束してきており、上げか下げかいずれかに動きやすくなっています。
個人的には、需給から言って、ドル安円高方向ではないかと考えています。
一方、EUR/USDは、トリシェECB総裁が4月にも利上げを行う可能性があることを示唆したことからユーロ買いの言い訳ができましたが、テクニカル的にも上だと思われます。
いったん2月2日に1.3862の高値をつけた後、2月14日に安値1.3489まで沈み込み、そこからジワジワと再び踏み上げて2月2日の高値付近まで上昇し、いわゆるウエッジ(楔形)・フォーメーションをとなり、そして2月2日の高値を上抜きました。
これにより、(それまでの高値1.3862-安値1.3489)+1.3862=1.4235近辺が、テクニカル上のターゲットになってきているものと見ています。
そのためには、まずは、1.40台に定着できるようになることが課題です。
EUR/JPYは、先週金曜の高値116.00を突破できるかですが、ドル/円の動きが鈍いため、EUR/USD次第だと思われます。
3月1日時点のシカゴIMMポジションにつきましては、ユーロは、ユーロロング83,104枚vsユーロショート31,796枚、ネットユーロロング51,308枚(前回ロング45,598枚)。
同時点の円は、円ロング62.396枚vs円ショート21,122枚、ネット円ロング41,274枚(前回ショート27,746枚)となっています。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
ユーロは、ネットのロングが5万台に乗っており、買い過ぎ感が出てきていますが、さらに先週後半にユーロは上昇したことから、ユーロロングが一段と増えた可能性がありますので、警戒が必要です。
円は、前週の2月22日の段階で、ネットポジションは円ショートになっていたのが、一週間で大幅に円ロングに転換しており、この円の買い過ぎが円高進行にブレーキを掛けたものと思われます。
尚、先週後半のドル/円の反発で、多少円ロングは減ったものと思われます。