まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足、そしてシカゴIMMポジションを見ておきましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
U.S.Dollar Indexの日足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/32?anticache=1332019379
一時、84.00を上抜いて84.245まで上昇しましたが、その後反落しています。もう一段の、調整的な下落の可能性があります。
次に、シカゴIMMポジションを見てみましょう。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
7月24日時点のポジションは、ユーロでは、ユーロロング39,501枚vsユーロショート194,567枚、ネットユーロショート155,066枚(前回ショート167,249枚)です。
尚、同時点の円は、円ロング52,024枚vs円ショート26,963枚、ネット円ロング25,061枚(前回ロング11,121枚)となっています。
ユーロは24日時点では、前回とあまりポジションは変わっていませんが、週後半の3連騰で、かなりショートカバーは出たものと思われます。
ドル/円は、多少円ロングが増えていますが、あまり大勢に影響はないと見ています。
今週は、1日(水)に米FOMCの政策金利発表、2日(木)にBOEとECB政策金利発表、3日(金)に7月の米雇用統計の発表と続きます。
一般に考えれば、これらの結果によって、新たな波乱が予想されるところですが、8月という夏休みとなる時季を考えれば、依然マーケットに残っている短期筋のポジション調整が優先されるのではないかと見ています。
したがって、EUR/USD、EUR/JPYはまだ上がるのではないかと見ています。
しかし、それはあくまでもポジション調整に過ぎず、トレンドが転換するということではないと見ています。
それよりも、先週後半に、ドラギECB総裁やメルケル独首相やオランド仏大統領の発言で印象に残ったのは、口を揃えて「(ユーロ圏を守るためには)あらゆる手段をとる」と述べたことでした。
思い起こせば、2008年、リーマンショックが起きる前、当時のポールソン米財務長官が、どうにか市場を支えようと、事あるごとに、マーケットに期待感を持たせるようなカンフル注射(一時的に患者を元気にさせる注射)的な発言を繰り返しました。
たしかにポールソン発言に、マーケットは一時的には蘇りましたが、結局は時間稼ぎにしかすぎず、その年の9月にリーマンショックが発生し、市場は大混乱となりました。
先週後半の「あらゆる手段をとる」発言は、まさにリーマンショック前を想起させるものがあり、結局はいずれ、ユーロは下落を再開するものと思われます。
ただし、来週の一連のイベント後は、夏休みで薄くなったマーケットの中で、チョッピーな(不規則に方向の変わりやすい)動きになるのではないかと見ています。
こうした、マーケットは、動きが不規則故に損をしやすく、あまり相場を真に受けてトレードしないほうが賢明かと思われます。
ユーロの下落の再開は、早くて8月後半、本格的には、9月3日(月)の米レイバーデー明けになるのではないかと見ています。
尚、ドル/円に関しましては、例年通り米国債の利金(利息)の円転(円買い)が8月最初から15日の期日前後まで続くものと思われます。
ドル/円は、先週末やや反発はしたものの、こうした季節要因や輸出企業のドル売りも引かないものと思われ、上値は重いと見ています。
また、今現在、興味を持っている通貨ペアは、AUD/USDで、先週末、7月19日の高値1.0443近辺を上抜いて、1.0486近辺で引けており、形状も7月25日に下押したところから踏み上げており、結構強そうです。
また、夏休み相場は金利で稼げとよく言われますが、金利のあるAUDは狙い目のように思われます。
ただし、AUD/JPYは、ドル/円の上値が重いものと思われますので、AUD/USDの方が、面白いのではないかと見ています。