まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足、そしてシカゴIMMポジションを見ておきましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
U.S.Dollar Indexの日足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/32?anticache=1332019379
ドルの上値は重くなっています。
次に、シカゴIMMポジションを見てみましょう。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
4月2日時点のポジションは、ユーロでは、ユーロロング44,459枚vsユーロショート110,160枚、ネットユーロショート65,701枚(前回ショート49,095枚)です。
尚、同時点の円は、円ロング46,966枚vs円ショート125,137枚、ネット円ショート78,171枚(前回ショート89,149枚)です。
ユーロは、ユーロショートが増えましたが、その後の展開を見ると、それが裏目に出て、ショートカバーを増幅させたように思われます。
円は、さすがに、日銀の金融政策決定会合を控えて、ポジション調整が若干ではありますが出たもようで、ネットショートは減少気味でした。
さて、今週ですが、ドル/円は、先週木曜日に日銀が決定した量的・質的金融緩和を受けて急騰しました。
翌金曜日発表の米雇用統計で、非農業部門雇用者数が予想外に悪かったにも関わらず、下げは限られ、さらに上昇し、97.84の高値をつけました。
この一連の急上昇には、米系ファンドが大きく関与したものと見ています。
なぜなら、ひとつには、昨年11月から今年2月に掛けての上昇相場でのファンド筋の強引とも言える買い上げ方が今回と酷似している点です。
さらに、先週の木曜・金曜と、EUR/USDが大きく買い戻されていることです。
このところ、米系ファンドは、EUR/USDを売りで攻めていましたが、1.2800前後で下げ渋りだしていたところに、ドル/円に上昇の可能性が出てきたことから、EUR/USDを買い戻し、ドル/円に乗り換えた可能性があります。
というのも、従来なら、米雇用統計が悪ければ、リスクを回避するための、ドル買い円買いとなり、EUR/USDも売られ(ドル高)、ドル/円、クロス円も売られる(円高)ことになるところです。(リスクオフ)
しかし、今回はEUR/USDは買われ(ドル安)、ドル/円、クロス円も買われて(円安)おり、従来のリスクオン、リスクオフの考え方では説明がつかなくなっており、やはりユーロショートから円ショートへの乗り換えがなされたものと見ています。
つまり、いったんドル/円相場から手を引いていた米系ファンドが、戻ってきたということは、先週木曜金曜に見られたような、すさまじい買いが今週も続くことが考えられますので、順張りで対応することが大事だと思います。
ファンド筋は、当面100.00を目指すものと思われます。
ただし、100.00というレベルは、浜田内閣官房参与(エール大学名誉教授)が、昨年12月に、「110円まで戻ると、日本は円安すぎるだろう。そうすると、100円くらいだ」と述べています。
つまり、100.00接近ともなれば、政府筋から牽制発言は出ることも考えられますので、いったんの利食い場となる可能性があります。
しかし、円安の引き金が既に引かれた以上は、相場は一時的に止まることはあっても、結局、とことん行き着くところまでは、円安は続くものと見ており、下がればまた引きつけて買うことが大事だと思います。
尚、行き着くところとは、5年ぐらいの期間を掛けて、160円あたりではないかと考えています。
2010年10月からの75円~85円近辺のタイトレンジを昨年12月まで続けました。
そして昨年12月末の引け値が86.72になったことで、月足ベースでレンジを上に抜けて、新たな上昇トレンド相場に入ったばかりです。
過去に1985年から1995年までの240円から80円までの160円のドル安円高が実際にあったことを考えれば、160円への上昇は決して絵空事ではないと考えています。
EUR/USDですが、結局、下を攻めきれず買い戻しています。
たぶん、相場のトレンドを作る投資家筋による一方向の資金移動が発生していないものと思われ、マーケットには投機筋しかいないため、下攻めすればショートになり、下げきれなくなると買戻していることから、今のEUR/USDの相場が形成されているものと思われます。
ただし、戻りも限られるものと思われます。
EUR/JPYも、ダブルトップの形状が踏み上げられて崩れており、ドル/円が続騰するのであれば、追随して上がるものと思われます。