まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足、そしてシカゴIMMポジションを見ておきましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
U.S.Dollar Indexの日足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/32?anticache=1332019379
ドルは、下落傾向を続けました。
次に、シカゴIMMポジションを見てみましょう。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
9月10日時点のポジションは、ユーロでは、ユーロロング82,772枚vsユーロショート70,076枚、ネットユーロロング12,696枚(前回ロング22,738枚)です。
尚、同時点の円は、円ロング18,854枚vs円ショート113,920枚、ネット円ショート95,066枚(前回ショート79,761枚)です。
ユーロのネットロングは、さらに減ってきているというよりも、むしろスクエア(ノーポジ)に近くなっています。
つまり、それを良い知らせと取るべきかは悩むところですが、マーケットの関心がユーロからそれてきています。
一方、円のネットショートは増加しており、(円の)売り過ぎの危険水域に入ってきています。
ただし、その後、ドル/円は軟調になったため、円ショートは多少なりとも減っているものと思われます。
さて、今週ですが、まず、週末の14日(土)、米国とロシアは、シリアの化学兵器を国際管理し廃棄させる目標で合意しました。
これにより、当面の軍事介入が回避されましたが、国際管理を提案したロシアが交渉の主導権を握り、米国は武力行使を明記できないなど譲歩を迫られた格好となりました。
8月27日に、ケリー米国務長官が、シリアで化学兵器が大規模に使用されたと指摘した上で、その証拠をシリアが隠滅したとしてアサド政権を非難したことから、緊張が高まり、リスク回避のためドル売り円買いとなりました。
それが、この週末、軍事介入が回避となったわけで、リスクが回避されたとして、ポジションを巻き戻してドル買い円売りが強まる可能性も考えられます。
しかし、実際のドル売り円買いの巻き戻しは、27日のケリー発言の翌日である28日から起きており、現状、シリア問題に絡んだドル売り円買いポジションにはそれほど残っていないように思われ、ドル高円安はそれほど進行しないものと思われます。
それよりも、今週の最注目のイベントは、18日のFOMCとバーナンキFRB議長の記者会見だと思われます。
マーケットの大方は、FOMCによって量的緩和の縮小が決定され、ドル高が進行するものと見ているものと考えます。
ファンド筋は、9月2日のレーバーデー当日から、ドル買い円売りで攻めてきました。
しかし、9月6日の米雇用統計が予想より悪くて反落、それでもその週末に決定した2020年東京オリンピック開催で、また思い直して再度買い上げ、11日には100.62の高値をつけました。
その後は、99円台前半まで反落という状況です。
要するに、昨年10月以来今年5月まで約25円の上昇で大儲けしたファンド筋が、夏休みが明けて、9月に入り再び円安で大儲けを狙って、かなり腰を入れて買いました。
しかし、買ったわりには上がらず、反落となりました。
ある意味、ドル/円を上げたい米系ファンドにとってみれば、今週18日のFOMCが、当面の上値トライのラストチャンスだと見ているものと考えます。
これで上げきれなければ、ドル/円から手を引き、新たな通貨ペアに乗り換えるものと思います。
次なる主役となる通貨ペアとは、EUR/USDではないかと見ています。
そして方向は上げだと思われますが、まだ、EUR/USDのロングに乗り換えるだけの確固たる相場のテーマが見当たらず、まだポジションを持つには早すぎると思っています。
じっくりと、EUR/USDの動き出すタイミングを待ちたいと考えています。
EUR/JPYにつきましても、上げを見ていますが、EUR/USDが本格的に上がる必要があると見ています。
尚、他に乗り換えられた後のドル/円は、まずは荒っぽく上下し、その後上にも下にも限られたレンジ相場になるものと思われます。