まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足、そしてシカゴIMMポジションを見ておきましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
U.S.Dollar Indexの日足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/32?anticache=1332019379
ドルは、下値を試したものの、週末前にポジション調整から買い戻されました。
あまり、安値圏からさらに下げられないようですと、反発の可能性が出てきます。
次に、シカゴIMMポジションを見てみましょう。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
一部米政府機関の閉鎖と関係があるかわかりませんが、10月6日現在、まだ直近10月1日時点のデータはアップデートされていません。
特に、かなり膨らんでいた円のネットショートにどのように変化したか、興味があるところです。
私も定期的に見てみますが、ご自身でも、お時間がある時、確認してみてください。
【ご参考】前週分です。
9月24日時点のポジションは、ユーロでは、ユーロロング129,862枚vsユーロショート64,018枚、ネットユーロロング65,844枚(前回ロング31,907枚)です。
尚、同時点の円は、円ロング18,173枚vs円ショート110,991枚、ネット円ショート92,818枚(前回ショート88,794枚)です。
さて、今週ですが、先週米財政問題をドル売りで攻めたマーケットでしたが、金曜のニューヨークでは、週末に議会での交渉に進展が見られた場合、大きくドルが買い戻されるという週末リスクが想定されたことから、ドルの買戻しが強まりました。
民主、共和両党は、週末返上で事態打開を模索する構えでいますので、確かに、現地時間の日曜日にでも決着がつく可能性は否定できません。
しかし、こうした最悪事態に陥っていながら、今のところ収拾がついていない状況は、異常と言わざると得ないと思います。
上記のU.S.Dollar Indexの週足で見ての通り、この7月ぐらいから静かにドル安が進んでいます。
今回の議会の問題だけでなく、ドル安になる土壌ができてきているように思います。
そうした中、ドル安の主役通貨は、ユーロになるものと引き続き考えています。
その主たる理由は、欧州危機で、ユーロは対ドルで売られ過ぎていると考えるからです。
もともと、欧米間では、資金移動が激しく行われていましたが、欧州危機のために、ユーロからドルに極端に資金が逃避し、例えていえば、ゴルフのショットではないですが、体をねじるだけねじっているのが今の状況だと思っています。
これが、ねじった体をもとに勢いよく戻すと、強力なスイングとなります。
今が、そのドルからユーロへ資金移動するタイミングに入ってきているものと考えています。
先日、著名投資家のジョージ・ソロス氏が経済シンポジウムで「ユーロ危機は終了した」と述べていることも、記憶にとどめておくべきかと思います。
大量のユーロの受け皿となれる流動性のある通貨が、ドルぐらいしかなかったのと同様に、その反対に、ドルから移動する資金を受け止められる通貨はユーロぐらいしかないと思われます。
さて、一方、ドル/円はどうかと言えば、ドル/円もドル安円高には向かうものと思われます。
しかし、EUR/USDがダイナミックに上昇する(ドル安)のに比べると限定的だと思われます。
なぜなら、ひとつには、昨年10月から今年5月までの約25円の上昇トレンドは、今年7月以降レンジ相場に転換しており、サイクル的には、来年春頃まで、動きづらいものと見ているからです。
さらに、ドル安円高を阻むのは、輸入企業だと思われます。
基本的に、現在の日本は貿易赤字国ですから、下がると、原油、液化天然ガス、精密機械、食糧等の輸入代金を手当てするドル買いが輸入企業から、先ごろ上値を抑えた輸出企業以上に出るものと思われますので、思ったほどには落ちないと思います。
そして、戻りは輸出企業の売りが待っているので、上も限られるということで、結局狭い値幅の中に、値動きは収束するものと思われます。
上げやすくなっているEUR/USD、そして動きづらいドル/円とが掛け合わされると、EUR/JPYは上がることになるものと思われます。
現状、米国の状況が流動的なこともあり、あくまでも、相場のイメージはこんな感じではないかと考えています。
ただし、相場を見る上でのポイントとしては、米国の状況をいろいろなマーケット参加者が見ています。
中でも、外貨準備をどこにおいておくのが安全かと考える中央銀行の担当者や、膨大な年金資金を預かる運用担当者などいわゆるリアルマネー(※)と呼ばれるマーケット参加者にしてみると、今の米国は、リスク回避の観点からは、あまり資金を置いておきたくないところになってきているように思います。
(※)リアルマネー:、年金、投資信託などの運用主体をリアルマネー系と呼ぶ。長期運用を基本の投資方針としている。