まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足、そしてシカゴIMMポジションを見ておきましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
U.S.Dollar Indexの日足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/32?anticache=1332019379
ドルは、高値圏で横ばいでした。
次に、シカゴIMMポジションを見てみましょう。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
5月13日時点のポジションは、ユーロでは、ユーロロング84,383枚vsユーロショート86,558枚、ネットユーロショート2,175枚(前回ロング32,551枚)です。
尚、同時点の円は、円ロング17,471枚vs円ショート82,178枚、ネット円ショート64,707枚(前回ショート60,728枚)です。
ユーロは、ほとんどネットポジションはありません。
円は、これまでとほぼ変わらぬサイズのネットの円ショートを維持しています。
さて、今週ですが、まず、シカゴIMMポジションにおけるユーロのネットポジションが、ショート2,175枚というほぼロングとショートが同額となって、スクエア(ノーポジ)に近い状態になっていることです。
つまり、ドラギECB総裁が5月8日(木)の記者会見で、次回6月の理事会での追加金融緩和を示唆したことにより、ロングが減り、ショートが増えた結果です。
そして、まじめなマーケットはまた、ECBの意向に従順に従って、ユーロを売ろうとしていると言えます。
従い、目先はさらに下方向を攻めるのではないかと思われます。
週足を見てみますと、2012年7月に、ドラギECB総裁が「ユーロ防衛のためにはあらゆる手段を取る」と明言したことがきっかけとなり、それまでの下落相場から、緩やかな上昇相場に転換しました。
しかし、直近、この緩やかな上昇相場が終わり、下落相場に転換してきている可能性があります。
また、一方でドル/円相場は、膠着相場続きましたが、目先、買い下がってマーケットがロングになっているせいか、戻りが弱くなってきており、下がりやすくなっているように、見ています。
そして、これらEUR/USDとドル/円の双方が下落するようであれば、それらの合成であるEUR/JPYはさらに下げる可能性が高まっているように思われます。
ちなみにEUR/JPYは週足の実体(ロウソク足の寄り付きと引け値の間の太い部分)の上昇トレンドラインを先週下回って、月曜の東京が寄り付いており、下げやすくなっていることからも、EUR/USD、ドル/円、EUR/JPY三者の同時安の可能性が決して非現実的ではないことを示していると考えています。
今週気になることは、ひとつは、6月末の欧米勢の中間期末を控えて、既存にあるポジションの損益確定のための反対取引がそろそろ出始める時期にきているということです。
ちなみに、昨年の場合、注目通貨は2012年10月から2013年5月までに約25円も上昇したドル/円のロングの手仕舞い売りが、昨年5月22日から6月初頭にかけて出ました。
そして、今年の場合ですが、既に申し上げましたように、EUR/USDのポジションをほぼありません。
しかし、円は5月13日現在でネット円ショートが、それほど大きくはないものの、それでも64,707枚あり、これの手仕舞いの円買いが出る可能性があります。
また、ここにきて、米10年物利回りが、先週木曜には、一時2.49%まで低下してきていることが気になります。
今のところ、ドル/円の下げは、本邦個人投資家層を中心とする買いで抑えられてはいるものの、本邦勢のロングポジションもかなりたまってきているように思われます。
あと、気になるのは、25日(日)に行われるウクライナの大統領選挙で、既に親ロシア派の妨害が出ており、公正な選挙実施への懸念が高まっています。
したがい、大統領選挙のあるこの週末に向けて、リスク回避の円買いドル買いが強まる可能性は高いものと見ています。
レンジ相場に慣れ、ドル/円やクロス円での、押し目買い、戻り売りが繰り返されてきているものと見ていますが、相場つきが下げに変わろうとしているものと思われますので、これ以上の押し目買いは賛成できません。
むしろ、既に買い下がってできたロングポジションの解消を急いだ方が良いように、個人的には考えています。