これからの展開は(2015/03/15)
まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足、そしてシカゴIMMポジションを見ておきましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
U.S.Dollar Indexの日足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/32?anticache=1332019379
ドルは、続騰しています。
次に、シカゴIMMポジションを見てみましょう。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
3月10日時点のポジションは、ユーロでは、ユーロロング61,271枚vsユーロショート242,344枚、ネットユーロショート181,073枚(前回ショート172,389枚)です。
尚、同時点の円は、円ロング32,898枚vs円ショート92,285枚、ネット円ショート59,387枚(前回ショート52,521枚)です。
ユーロも円も、ネットショートが若干増えています。
さて、今週ですが、今のEUR/USDの動きを見ていますと、昔、ディラーの先輩から言われた言葉を思い出します。
それは、「トレンド相場の場合、上げのトレンド相場であれば、自らド天井を買うつもりで買い、下げのトレンド相場であれば、自らド底を売るつもりで売る」、つまり、トレンド相場では、それぐらいの気概を持ってトレードをしないことには、相場に乗り遅れるということです。
EUR/USDは、昨年の5月から下落を続けてきました。
相場が、一方向に長期間資金が向かうためには、実際のフロー(資金の移動)が必要です。
そして、フローを作る担い手は、通貨ペアによって異なり、EUR/USDの場合は、投資家がそれに当たります。
ここで言う投資家とは、政府系ファンドやペンションファンド(年金運用機関)、また少し性格を異にしますが、外貨準備を移動させる中央銀行などを言います、
彼らは、基本的にお堅い人達のため、資金を動かす方針が決定するには、やや時間がかかりますが、ひとたび方針が決まると、怒涛のごとく、しかも長期間、資金を移動させます。
尚、今回の場合は、米国とユーロ圏の金融政策の方向性の違いがきっかけとなっているものと思われます。
そうした方針により、ユーロからドルへの一方向のフローが、昨年の5月以来続いてきているため、戻りらしい戻りがないままに下げてきていると思われます。
この投資家による資金移動は、過去にもありましたが、たとえば、2001年9月11日に発生した米同時多発テロの結果、米政府がヒステリックになったことから、米国に資金を置いておくことに危険を感じた原油代金がドルで入る中東やロシア、また膨大な貿易黒字から大きな外貨準備をドルで持つ中国といった国々は、せっせとドルからユーロへ資金を移動させたことがあります。
その時の移動期間は、2002年から2008年までの6年間にも及び、しかも動いた値幅が約7300ポイントにもなりました。
もちろん、今回の移動期間が、その時と同じぐらいの規模になるとは一概には言えませんが、しかし、ある程度長期間でしかもそれなりに大きな値幅の下落トレンドになるものと思われます。
つまり、パリティー(等価、1.0000)が、下げの終着点ではないと見ています。
いすれにしましても、EUR/USDは下げるばかりで、戻りは限られるものと思われます。
一方、ドル/円ですが、先週は、高値圏を維持しましたが、その結果、値幅が収束してきており、そろそろ動き出すものと思われます。
問題は、方向です。
現在、全般にはドル高相場になっていますので、それにしたがって、他の通貨にも、そして日経平均にも出遅れているドル/円がキャッチアップするのか、あるいは、121円台後半の上値の重さに勝てずに反落するのか、注目です。
また、EUR/JPYが下落しているのに、ドル/円は上がれるのかという疑問もあります。
しかし、これは実際の状況を見ながら、判断していくしかありません。