ペリー提督
私達のチームは、実にニューヨークらしく、”Melting Pot”(人種のるつぼ)で、WASP(※ワスプ)、アイルランド系、ドイツ系、ルーマニア系、ユダヤ系、ベネズエラ系、中国本土系、香港系、台湾系、韓国系のアメリカ人達と日本人で構成されていました。
(※)WASP(ワスプ):ホワイト(W)、アングロ(A)・サクソン(S)、プロテスタント(P)の略で、英国系白人で宗教はプロテスタントという米国の保守本流エリート層を呼びます。
WASPのやつは、海軍一家の出で、親戚から、「おまえ、(為替ディーラーなんてわけの分からないものやってて)大丈夫か?」とよく聞かれると言っていました。
彼の曾お爺さんは、ペリー提督とともに日本に来航したそうで、実家には江戸幕府から曾お爺さんに送られた品が家宝としてあるそうでした。
この話を聞いて、とんだところで日本史に触れたもんだと思いました。
また、台湾系のアメリカ人ディーラーは、小さい時、神戸にいたそうで、日本語がペラペラでした。
ところが、日中国交正常化に伴い、日本政府は、台湾人へのビザの発給・更新を認めなくなり、やむなく家族一同、米国に渡ったそうです。
そうした日本の政治に翻弄された人とも、職場を同じくしているかと思うと、複雑な気持ちでした。
こんな話を、マーケットが静かな時、同僚と語り合ったことが、今でも懐かしい思い出です。