まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足、そしてシカゴIMMポジションを見ておきましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
U.S.Dollar Indexの日足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/32?anticache=1332019379
ドルは、横ばいを続けています。
次に、シカゴIMMポジションを見てみましょう。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
9月29日時点のポジションは、ユーロでは、ユーロロング61,932枚vsユーロショート149,592枚、ネットユーロショート87,660枚(前回81,033枚)です。
尚、同時点の円は、円ロング39,753枚vs円ショート61,805枚、ネット円ショート22,052枚(前回ショート23,678枚)です。
円もユーロも、前回とほとんど変わっていません。
さて、今週ですが、先週末の米雇用統計で、非農業部門雇用者数は14.2万人と予想の20.1万人を大きく下回ったことから、発表直後、ドル売り一色となりました。
しかし、ドル/円は下げ渋り、EUR/USDは上げ渋ったことから、結局、ドルは買い戻されました。
このことから、米利上げという1年以上にもなるテーマは、既にかなりステールな(古臭い)ものになっていて、雇用統計の発表が予想以上に悪くてもレンジブレイクできずに往って来いになっている一方で、新規材料難でもあることから、結局相場は膠着度を高めています。
相場が素直に動きだすためには、ひとつには逆張りポジションが積み上がっていること、そしてそれが積み上がったところに、意表を突くような事件なり出来事が発生すると、あとは逆張りポジションを解消しようとするロスカットが集中し、それによりレンジはブレイクしていきます。
こうしたレンジブレイク直後の相場は若く、新しく動き出したばかりですので、素直に順張り方向に走り出します。
つまり、膠着したレンジ相場から一方向に進むトレンド相場に転換するわけです。
テクニカル的に見れば、ドル/円もEUR/USDも、またEUR/JPYも膠着度を高めているということは、目先レンジ相場がまだ続く可能性もありますが、ここまで収束しきってくると、むしろ近々動き出すものと、個人的には考えています。
ここでいう「近々」の尺度は、今月中ないし来月初頭ぐらいをイメージしています。
特に、EUR/USDは、日足の複数の移動平均線(5、10、25、90、120、200日)が収束しており、ドル/円以上に動きだすタイミングは早くやってきて、そのため、EUR/JPYも動くのでないかと見ています。
尚、EUR/USD、EUR/JPの動く方向は、下げだと見ています。Y
「相場が動くという事実が先にあって、理由は後からついてくる」というインターバンクディーラーの間で良く使われる言葉があります。
つまり、チャートで見て動きそうだと思うものの、なぜ動くかという理由はわからないということは、相場の世界では決して珍しいことではありません。
今回も、「理由が後からついてくる」的な相場になるように思っていました。
しかし、理由として、もしかしたらと思うことが、最近まだおぼろげながらではありますが、出てきています。
それは、ドイツです。
最近では、以下のような材料のいくつかを、ブログやコメントを通じて発信してきました。
独大手自動車会社フォルクスワーゲンが米当局から莫大な制裁金の支払いを求められる可能性があること。
そして、それ以前に、ドイツは先進国の中でも突出して輸出比率が高く、輸出の対GDP比率は直近の2015年第2四半期で48.8%にも及んでいます。(日本は17.1%)
今回の不正問題をきっかけに、ドイツの自動車輸出が激減することになると、ドイツの経済成長率を大きく低下させるリスクがあります。
既に、この不正問題の余波で、他のドイツ企業の資本市場での資金調達にも悪影響が出ています。
また、独最大手の銀行ドイチェバンクが、すでに6月に大手米格付け機関S&Pによって2段階の格下げされています。
ドイチェバンクはデリバティブ取引により、ギリシャの借金の事実上の保証人となってきました。
そのため、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥った場合、同行は無限の損失を被ることになるわけです。
7月にギリシャ危機は、峠を越え、一服となりました。
しかし、ドイチェバンクの格付けは下がったままです。
ギリシャの借金の事実上の保証人であることが露呈した以上、もう簡単に格付けは引き上げられないものと思われます。
こうした、ドイツの産業界や銀行が躓いた(つまづいた)大きな理由は、アメリカをまねて、グローバルスタンダード(※)に基づいてグローバル化(※)図ろうとしましたが、これがうまく行かなかったもようです。
※グローバルスタンダード:米国流のビジネス手法や基準となる経営指標や国際会計基準。一時世界的に、もてはやされました。
※グローバル化:従来の国家・地域の垣根を越え、地球規模で資本や情報のやり取りが行われることです。
さらに、現在問題になっている難民受け入れで、メルケル首相は「政治難民の受け入れに上限はない」と豪語し、無制限の受け入れを促したことに対して、国民やEUの他の国々から批判が高まっており、国内での同首相に対する支持率も急低下しているということです。
つまり、ユーロ圏の牽引車であると内外で信じられていたドイツが、政治・経済共におかしくなってきているようです。
そして、このことが、新たな為替相場に置けるテーマになるのではないかと考えています。
すなわち、ユーロ安が対ドルでも対円でも、今後進むのではないかと考えています。