まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足、そしてシカゴIMMポジションを見ておきましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
U.S.Dollar Indexの日足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/32?anticache=1332019379
ドルは、小反発していますが、横ばいの範囲内と思われます。
次に、シカゴIMMポジションです。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
4月12日時点のポジションは、ユーロでは、ユーロロング89,216枚vsユーロショート141,267枚、ネットユーロショート52,051枚(前週 ショート53,437枚)です。
尚、同時点の円は、円ロング100,120枚vs円ショート33,930枚、ネット円ロング66,190枚(前週 ロング60,073枚)です。
ユーロもドル/円も、あまり変化はありません。
さて、今週ですが、ドル/円に関して、先週末、相場から感じたことと、ニュースとして入ってきたことの両方から、結論としては、円高が今週再燃するだろうということでした。
まず、先週金曜のマーケットを終えてみて感じたことは、米系ファンドが、金曜の海外から再びドル売りに出ている可能性が高いということです。
先週金曜のロンドンでは、東京が高く終わってきたところを、ロンドン勢はガンガン売ってきました。
このロンドンの強烈な売り自体、良くあることではありますが、先週金曜が異例だったのは、ロンドンのいったんの手仕舞時となる、日本時間午後8時台、つまり、ニューヨークオープン直前に、売ってきた以上、通常であれば、ショートカバー(買戻し)が出そうなところ、ほとんどショートカバーはでなかったところに違和感がありました。
そして、さらに、ニューヨークに入り、さらに、売りが強まりました。
つまり、ロンドンオープン時の109.60近辺からニューヨークの安値108.60まで、1円売り下げられたことになります。
この海外時間の売りから感じたのは、ロンドンタイムの一見ロンドン勢の売りに見えたのは、米系ファンドだったのではないかということです。
米系ファンドが売ってきたので、午後8時台の手仕舞いも限られ、引き続きニューヨークで売りが出たため続落したものと思われます。
つまり、先週13日(水)からのドル/円の反発局面で、特に15日(金)には110.00接近したところから米系ファンドは売り直している可能性が高いということです。
さらに、ニュースとして入ってきたのは、14日、15日とワシントンで開かられたG20(20カ国・地域、財務相・中央銀行総裁会議)で、麻生財務相は「最近の為替市場での一方的に偏った動きに強い懸念を有している」と伝え、円高に警戒感を示しました。
ところが、ルー米財務長官は「最近は円高が進んだが、為替市場の動きは秩序的だ」と述べ、日本政府が円安誘導策に動くことをけん制しました。
さらに、「日本は通貨安競争をしないというG20の約束に同意している」と指摘して、日本が円売り介入などに動くことを、さらに強くけん制しました。
つまり、円高進行を懸念する日本と、ドル高局面が米景気の下振れ要因になることを懸念する米国の間で思惑の違いが鮮明になっているもようです。
この思惑の違いに対して、マーケットは、ドル売りで対応するでしょうし、先にも申し上げましたように、先週金曜段階で、すでにファンド勢は、この日米の思惑違いを理由にドルを対円で改めて売り始めているように思われます。
従い、今週、ドル/円は、再度下値を試されるものと思われます。
そして、米国は、ここ2年ほどのドル高状態の是正に本腰を入れるものと思われます。
以下の、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足からも、ドル高是正が既に始まっていることがわかります。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
EUR/USDは、反落した後安値圏にいて、横ばい状態ですが、いずれは上がるとは見ていますが、目先は動きづらいものと思われます。
EUR/JPYについては、日足のダウン・チャネル(チャネルは水路の意。帯のような形状で、この右肩下がり(ダウン)の帯の中で、上下しながら下げる)は、依然として繰り返されているものと思われますので、目先、下落すると見ていまs。
尚、今回の熊本地震につきましては、まず、心からお見舞い申し上げます。
その上で、為替面での影響につきましては、東日本大震災の時と似て、生損保は保険金支払いのために、外貨資産の取り崩しが起きるという憶測を呼んで、円買いが強まるものと見ています。
東日本大震災の時との違いは、東日本大震災の時も、保険金支払いのために外貨資産の取り崩しの憶測に実際投機筋が円買いに出ましたが、それを欧米中央銀行との協調介入によって、排除されました。
しかし、今回は通貨安競争の回避をG20で合意している限り、協調介入はかなり難しいものと思われます。