まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足、そしてシカゴIMMポジションを見ておきましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
U.S.Dollar Indexの日足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/32?anticache=1332019379
ドルは、週足では反発気味が続いていますが、日足では高止まり気味になっています。
次に、シカゴIMMポジションです。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
5月24日時点のポジションは、ユーロでは、ユーロロング93,955枚vsユーロショート131,850枚、ネットユーロショート37,895枚(前週 ショート22,587枚)です。
尚、同時点の円は、円ロング54,792枚vs円ショート32,733枚、ネット円ロング22,059枚(前週 ロング58,919枚)です。
ユーロのネットショートは、やや増えています。
円ネットロングは、3万枚以上減っています。
さて、今週ですが、先週末、イエレン米FRB議長の早期利上げ発言を受け、一時ドル/円は110.45まで上昇、EUR/USDは1.1111まで下落(ドル高)しました。
しかし、28日(土)に新たなニュースが飛び込んできました。
安倍総理大臣は、28日夜、麻生副総理兼財務大臣、自民党の谷垣幹事長らに、来年4月の消費税率の引き上げについて、2019年10月に2年半、再延期する考えを伝えました。
これに対し、麻生副総理らは慎重な姿勢を示したことから、安倍総理大臣は、政府与党内の意見集約を図るため引き続き調整を続けることにしました。
このニュースを受け週越え後の明日のシドニーが、どのように始まるかですが、まず、反応するとすれば、通貨ペアで言えばドル/円になると思います。
それでは、上げか下げかですが、そもそも、この消費税率引き上げの再延期を、アベノミクスの失敗とマーケットは捉えるのかどうかによると思います。
ただし、先週末が、ドル高円安傾向で終わっていること、日経平均もとりあえずは買いで始まる可能性もありますので、個人的には最初の反応はドル買い円売りではないかと見ています。
しかし、ドル/円の上値もかなり重そうですので、買いで飛びつくと、極短期間でマーケットのポジションはロングになって反落することになるものと見ています。
あと、気になるのは、今年になってドル売りに回っている米系ファンド筋の反応です。
今年の2月に米系ファンド筋は、アベノミクス失敗で大きく売りに回っていたもようですので、ファンド筋は、改めて、今回の再度の消費税率引き上げ延期を、アベノミクスという政策の失敗と捉えドル売り円買いで突いてくる可能性は高いと思います。
ただし、ドル/円は、5月18日以来、レンジ相場に突入していますので、下げも中途半端になる可能性があります。
つまり、このニュースに対するドル買い円売りは短命ではあるけれど、しかしレンジ相場も抜け出せないという相場になるのではないかと思います。
また、今週は、週末に米雇用統計の発表が控えていますので、尚更レンジ相場は続くのではないかと見ています。
尚、EUR/USDは、2日(木)にECB理事会がありますが、もうひとつ気に掛けておいた方が良いことがあります。
それは、6月末の欧米勢の中間決算です。
例年、この中間決算に向けて、年初来できてきたポジションの手仕舞いが6月1日前後から始まります。
これは、欧米の中間決算ですので、欧米勢がポジションとして保有するEUR/USDの手仕舞い(反対取引)が中心となる傾向があります。
しかも、たとえば、ユーロ危機とかを材料に年初来大々的に売ってきて、相場の反転など予想だにしない相場でも、この事務的な手仕舞いによって、いとも簡単に相場が反転してしまったことは結構あります。
確かに、今年はこれまで、EUR/USDは動意薄で、シカゴIMMポジションを見ても、ポジションは極めて少ないことから、欧米の中間決算の相場への影響は極めて限られる可能性はあります。
しかし、年初来のEUR/USDの推移を見てみますと、5月初頭までジリ高傾向になっていたことを考えれば、6月末に向けては、手仕舞いの売りが多少なりとも出て、ユーロ安になる可能性はあるものと見ています。
尚、5月初旬から反落しているのは、すでにロングの手仕舞いが始まっていると捉えるべきかもしれません。
そして、レンジ相場が当面続く可能性のあるドル/円と欧米の中間決算に向けて多少なりとも売られる可能性のあるEUR/USDの合成でできているEUR/JPYは下がる可能性が高いと見ています。
EUR/JPYは、単体で見る限り、長期的には、かなり下値リスクがあるように考えています。