まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足、そしてシカゴIMMポジションを見ておきましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
U.S.Dollar Indexの日足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/32?anticache=1332019379
結局、ほぼ横ばいです。
次に、シカゴIMMポジションです。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
9月6日時点のポジションは、ユーロでは、ユーロロング97,324枚vsユーロショート189,954枚、ネットユーロショート92,630枚(前週 ショート81,925枚)です。
尚、同時点の円は、円ロング83,963枚vs円ショート29,479枚、ネット円ロング64,484枚(前週 ロング63,661枚)です。
ユーロも、円も、大きな変化はありません。
さて、今週ですが、先週月曜、アメリカでは、レーバーデーの祝日があり、その翌日から学校では新学期、そして、ファンドマネージャーにとっても、実質的な下期のスタートとなっており、どの通貨をメインに持ってくるか、物色が始まっています。
ドル/円に関しては、先々週の金曜の米雇用統計が芳しくはなかったにも関わらず、無理やり上げたため反落となり、それでは、下げかと見ると、買いも入って、予想外に反発し、相場に方向感がなくなっていることを印象づけました。
一方、EUR/USDは、下期に入り、今までの膠着相場から脱出を試みるかのように、上値を試しましたが、その後やや緩んでいます、
EUR/JPYに関しては、基本的には、ドル/円に追随した動きとなっています。
さらに、月足で、それぞれを見てみますと、ドル/円は、昨年の12月から下げ始め、6月までで25円弱の下げとなりました。
そして、その後は102円~103円を中心とした横ばい相場に転換しています。
話の流れから相前後しますが、次にEUR/JPYを見てみますと、特に今年に入ってからの下落は、狭いレンジを続けるEUR/USDに対してドル/円の下落が起因していることがわかります。
そして、EUR/USDは横ばいを続けてきました。
さて、ファンドマネージャーの目で、この主要三通貨ペアのどれが一番動くポテンシャリティー(潜在性)があるかと見てみますと、ドル/円な既に25円近くの下落をしていること、またEUR/JPYはそれに追随しているだけに過ぎず、いずれの通貨ペアも既に相場がマチュア(熟して)してしまっている可能性があります。
一方、EUR/USDは、2014年の5月から2015年3月までの間に約3500ポイントの急落をしましたが、2015年4月から今日までの約1年半膠着相場が続いてきました。
2014年5月からの急落相場の原因はECBの追加利下げでしたが、これにより、多くの資金がユーロからドルに資金移動したための約3500ポイントの下落でしたが、この資金移動が2015年3月に一巡したことその後のレンジ相場となりました。
つまり、欧米間では資金の移動が活発で、2014年5月から2015年3月はユーロからドルに活発に移動し、資金移動が終わればぱったりと、相場も動かなくなっているということです。
確かに、現状、ユーロ圏はいろいろな問題を抱え、それを考えるとユーロ安の再開も考えられないことではありませんが、2015年3月までおユーロからドルへの資金移動によって、ドルに移動すべき資金は移動しきっている可能性があります。
こうなると、新たなユーロ売りの材料が出て来ても、なかなか素直にはユーロ安にはならないものと思われます。
むしろ、こんな時に、ファンドマネージャーの目には、EUR/USDは割安に見えるものと思われます。
そして、ここに来て打診買い(ためしに買ってみる)が、実質的な下期のスタートとなった先週、ユーロ買いで出てきているように思われます。
それに対して、ドル/円は昨年12月から下げ続けてきましたが、7月から横ばいになり、しかも2014年に9カ月間横ばいしたほぼ同水準で停滞を始めているということは、今までの主役通貨ペアであったドル/円が、今度は停滞し、変わってEUR/USDが主役を張ることになる可能性があります。
つまり、EUR/USDは、それまで売られ過ぎたポジションがアンワインド(ほのく)する相場になるのではないかと見ています。
ただし、EUR/USDがアンワインドしようとうしても、抵抗がきつく、断念せざるを得ない場合も当然ありますが、まずはトライ・アンド・エラー(試行錯誤)してみなくては、道は拓けないものと思われます。