まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足、そしてシカゴIMMポジションを見ておきましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
U.S.Dollar Indexの日足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/32?anticache=1332019379
ドルは反発となりました。
次に、シカゴIMMポジションですが、11月13日現在、11月8日分がアップデートされていません。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
【ご参考】前回分
11月1日時点のポジションは、ユーロでは、ユーロロング126,443枚vsユーロショート263,828枚、ネットユーロショート137,385枚(前週 ショート123,856枚)です。
尚、同時点の円は、円ロング81,010枚vs円ショート37,850枚、ネット円ロング43,160枚(前週 ロング44,595枚)です。
つけ加えて、同時点のポンドは、ポンドロング63,739枚vsポンドショート146,700枚、ネットポンドショート82,961枚(前週 ショート83,962枚)です。
さて、今週ですが、先週は、米大統領選でトランプ氏が当選するというまさに番狂わせがありました。
マーケットでは、トランプ氏が大統領になれば、ドル安と見られていましたが、彼の積極財政政策などへの期待が高まり、ニューヨークダウや米国債10年物利回りは、急騰し、これを受けて、ドル/円は上昇、EUR/USDは急落となりました。
しかしドル安材料であったものが、これだけ、結果が出るとなんでコロッとひっくり変えるのか、なにかわりきれないこともあり、いつものように、判らなくなったら、長いチャートを見ることにしたいと思います。
ドル/円の月足を見てみると、ドル/円は、従来から、申し上げていた、100円~106円ぐらいのレンジ相場を上に抜けてきています。
しかし、これは月足ですので、月末に想定レンジ内に戻っていれば、一時的な行き過ぎということになります。
確かに、先週の金曜は、週末のポジション調整から売られ、いったん106.03まで下げましたが、引けは106.69と、またしても、上をにらんだ終わり方になっています。
したがって、まだ上を試す可能性はあると思います。
ただし、日本の輸出企業の現在の想定レート107円台ですから、107円台では相当量の売りが出るものと思われます。
なおかつ、実需である輸出企業と投機筋とでは性格が全く異なります。
輸出企業とは、製品を海外に輸出し、その代金をドルで受取ります。
このドルで受け取った時点で、言ってみれば、仮にドルロングのポジションを持ったことになります。
しかし、ドルで受け取っても国内では使えませんので、円に換えます。
こうして、ドル売り円買いをすると、ポジションはスクエア(ノーポジション)となり、為替取引は
完結します。
一方、投機筋には宿命があります。
たとえば、ドル/円を買ってドルロングになると、必ず、どこかの時点では、利食いか損切りのためにドル売りをしなければなりません。
先にも、申し上げましたように、輸出はドル代金を円に交換すれば、ポジションはスクエアになる一方で、投機筋はその輸出の売りを買って、その時点でロングになるわけですから、市場には、投機筋のロングだけが残ることになります。
ということは、投機筋は、そうそう長い間ドルロングポジションを持っていられないわけで、どこかでは売らざるを得ないということです。
ですから、今の時点で、月足が上げてきていますが、投機筋がこれを持ち上げれば持ち上げるほど、その後下げやすくなるものと思われます。
確かに、2012年から2015年に掛けて、ドル/円は50円弱上昇したことは事実です。
しかし、当時と今では状況が全く異なります。
2011年3月11日に東日本大震災が起きて、原発事故が発生し、国内すべての原発が停止したため、代替エネルギーとしての液化天然ガスの輸入が大量に行われ、日本の貿易収支(輸出-輸入)が大赤字(輸出<輸入)になり、実際、恒常的にドル買いが実需から起きたということがありました。
しかし、2014年7月から原油価格が急落し、輸入価額が急減したため、今年の上期には貿易収支は黒字(輸出>輸入)になり、為替でも今年の年初からドル安円高になっています。
実需の為替の怖さは、先にも述べましたが、輸出超であれば、ドルの売りっぱなし(売り放し)になり、輸入超であれば、ドルの買いっぱなし(買い放し)になることには、十分な注意が必要です。
EUR/USDにつきましても、ユーロ売りドル買いが強まり、1.08台まで下げています。
これまで、1年半余りのレンジ相場が、下方向を攻める可能性がありますが、まだ、それが本物かどうかは定かではありません。
EUR/JPYは、膠着レンジが、上に試させられようとしていますが、ドル/円、EUR/USDそれぞれの動向によると思います。