これからの展開は(2017/04/30)
まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足、そしてシカゴIMMポジションを見ておきましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
U.S.Dollar Indexの日足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/32?anticache=1332019379
ドルは、窓を開けて下落しています。
次に、シカゴIMMポジションです。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
4月25日時点のポジションは、ユーロでは、ユーロロング157,831枚vsユーロショート178,726枚、ネットユーロショート20,895枚(前週 ショート21,649枚)です。
また、同時点の円は、円ロング48,538枚vs円ショート75,407枚、ネット円ショート26,869枚(前週 ショート30,463枚)です。
つけ加えて、同時点のポンドは、ポンドロング54,050枚vsポンドショート145,232枚、ネットポンドショート91,182枚(前週 ショート98,490枚)です。
ユーロは、低水準横這いです。
円は、ネットショートは、やや減っています。
ポンドは、ネットショートがやや減っています。
今週ですが、先週金曜、ロンドンタイムに入って、ドル/円の買いがジリジリと強まり、個人的には、非常に気持ちの悪さを感じました。
というのも、4月11日からのドル安円高は、シリア・北朝鮮情勢の緊迫化にリスク回避の円買いとなったのが、そのストーリーは4月20日からの反転・全戻しとなって完全に否定されました。
そして、先週金曜から、ドル/円は改めて上昇を始めています。
これは、特に北朝鮮情勢に対するリスク回避は、ドル買いであって円買いではないという見方が強まったからだと見ています。
個人的には、それも道理だと思います。
なぜなら、北朝鮮から、ミサイルがすぐにでも飛んでくる日本と、大陸間弾道弾で、やっと届くアメリカとでは、リスクが違い過ぎると思うからです。
従って、目先、日本近海で高まっている地政学的リスクによってドル/円の上値が試される可能性は高いと思います。
そんなことを申し上げますと、ちょっと待て、お前は、この前まで、ドル/円は変形ダブルトップを形成し、変形ダブルトップが完成すると、大きく円高になる可能性があると言っていた見方は、どうなったのかというご指摘を受けることになると思います。
結論的に申し上げれば、今現在も、中長期的には、大幅な円高の可能性は否定されていないと見ています。
ただし、目先、北朝鮮という子供とトランプ米大統領という子供の、本当の刃物を振り回した喧嘩に、つき合わざるを得ない状況だと思われ、とりあえず、ドル高円安方向を試す可能性は高いものと見ています。
今年の早い時期に、相場の方向性を決める投資家の動向について考えていました。
投資家が投資方針を決めるにあたって、今年については、1月20日に大統領に就任したトランプ氏に対する評価を下すのに、少なくとも、100日間の蜜月期が必要だろうと見ました。
そして、今その時期に来て思うことは、2001年の1月に大統領に就任したジョージ・ブッシュ氏の時と状況が似通っていることです。
ジョージ・ブッシュ大統領は、就任後、イスラム圏に圧力をかけたために、同年9月11日にオサマ・ビンラディン率いるテロ組織アルカイダによって米国内を舞台とした同時多発テロという過去に例を見ない反抗を受けました。
このジョージ・ブッシュ大統領とトランプ大統領の共通点は、どちらも新しく大統領に就任した年に世界を震撼とさせる大事件を引き起こしている点です。
つまり、就任早々、どうしても実績を上げようと、ある意味、ええ格好しい(人前で実際よりも良い人を装ったり、格好良く見せようとする)をしたために相手に噛みつかれたということだと思います。
そして、ブッシュ大統領の時は、同時多発テロによって、米政府がヒステリー状態になったため、他の国々は、今、アメリカに資金を置いておくのは危険と考え、事件勃発から半年後に当たる2002年2月から、ドルからユーロに資金を移動し始め、この動きは6年間続きました。
さて、今回の場合はどうなるかですが、やはり米政府の対応次第だと思います。
早期に、北朝鮮との緊張が収拾に向えば良いですが、泥沼化すると、ドルからの資金移動は、2002年からのように今回も起きる可能性があります。
尚、ドルからの資金移動の先は、ドルからの巨額の資金の受け皿になりえるユーロあるいは円に主に向かうものと思われますが、どちらにより向かうかについては、今後の各国・地域の情勢を逐次見ていく必要があります。