これからの展開は(2017/05/21)
まず、ドルの総合的な強弱を示すU.S.Dollar Indexの週足と日足、そしてシカゴIMMポジションを見ておきましょう。
U.S.Dollar Indexの週足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/W
(※ロウソク足にするには、画面左のChart FormatのCandlestickにチェックしてください)
U.S.Dollar Indexの日足(上がドル高、下がドル安)
http://futures.tradingcharts.com/chart/US/32?anticache=1332019379
大幅下落です。
次に、シカゴIMMポジションです。
シカゴIMMのポジション
http://www.cftc.gov/dea/futures/deacmesf.htm
5月16日時点のポジションは、ユーロでは、ユーロロング164,234枚vsユーロショート126,630枚、ネットユーロロング37,604枚(前週 ロング22,399枚)です。
また、同時点の円は、円ロング41,963枚vs円ショート101,971枚、ネット円ショート60,008枚(前週 ショート36,307枚)です。
つけ加えて、同時点のポンドは、ポンドロング48,369枚vsポンドショート81,364枚、ネットポンドショート32,995枚(前週 46,798枚)です。
ユーロのネットロングは、増加傾向です。
円のネットショートは、増加しています。
ポンドのネットショートは、やや減少です。
先週末のニューヨーククローズの日足を見てみますと、EUR/USD、GBP/USDが上昇に対して、ドル/円は
明確な方向性がありません。
これが意味するところは、トランプ大統領が引き起こす諸問題から、欧米投資家は、今までオーバーウェイト(投資割合の高い)だったドルから、アンダーウェイト(投資割合が低い)だったユーロやポンドに資金を移動させている可能性が高いということです。
このドルと主にユーロの間で資金移動がなぜ大きく動くかといいますと、世界第1位の規模を誇るドルから資金移動させる相手は、世界第2位の規模の通貨であるユーロしか受け皿になりきれないためです。
もちろん、逆にユーロから資金が移動する場合も、その相手はドルにならざるを得ません。
ですので、ユーロ/ドルが過去大きく動いた背景には、こうした資金移動が大きく影響しています。
たとえば、2014年5月から2015年3月までの3500ポイントものEUR/USDの急落は、ECBの追加利下げを嫌気して、投資家が資金をユーロからドルに移動させたためです。
そして、それから最近までの横ばいは、投資対象に対するウェイト変更をする必要がなかったため、資金移動が起きなかったためだと言えます。
そして、4月以来、やっぱりトランプ大統領は、特に、北朝鮮問題では一触即発のところまで状況を悪化させたことは、投資家に大きな恐怖心を植え付けたものと思われます。
お金は臆病なものです。
ある国・地域に何か危機が迫っていると感じれば、間髪入れずに別のところへ資金を移動させます。
欧米間では、ドルとユーロしか、その規模の大きさから、お互いしか相手の通貨の受け皿になりえないということになり、欧米間の資金移動が必要な場合には、EUR/USDがワンウェイ(一方通行)に動くことになります。
現状、まだざっくりと言えば、1.0500~1.1500のレンジ内にいますが、近い将来上抜いていくものと見ています。
GBP/USDも、昨年6月のブレグジット以来、売りに売られてきましたが、その調整的な持ち直しになってきていると思います。
GBP/USDの市場規模は、EUR/USDよりもはるかに小さく流動性が低い分、場合によっては、ユーロ以上に動く可能性があります。
ただし、欧米間の量の伴う資金移動は、あくまでもEUR/USDが中心となるものと思われます。
ドル/円に関しては、脇役となる可能性が高いため、あまり方向感のない相場が続くものと思われます。
このように2年余りも動かなかった欧米投資家が動きだしたことが、新たな相場を形成していくものと思われます。