パワープレー
パワープレーとは、力で相場を動かすトレーディングです。
私が知る限りで、最も凄かったのは、米バンカーズトラスト銀行ニューヨーク本店のトレーダーだったアンディー・クリーガーのトレーディングでした。
彼は、通貨オプションのトレーダーでしたが、オプション取引に伴ってスポット取引、いわゆるFX取引にも参入してきました。
ある時、突然、ニューヨーク市場が大荒れとなり、瞬く間に、世界中に彼の名前が広まりました。
彼の取引手法を、後日聞いてみたところ、たとえば、EUR/USDのマーケットが70-75とすると、突然30のオファー(売り)をブローカー経由でマーケットに出します。
当然、75で買うよりも、はるかに安いレートで買えますので、買いが群がってきて、10億ユーロ(1000本)ぐらいの取引が成立します。
そうすると、彼は、さらに低い00のオファーを、マーケットに出します。
これにも買いが殺到し、さらに10億ユーロ(1000本)ぐらいの取引になります。
そうやって、マーケットはパンパンにロングにさせておいて、今度は、彼は、銀行を何行も直接呼んでプライスを求め(ダイレクト ディール)、相手銀行が出すプライスをことごとく叩き売りますから、たまりません。
ただでさえ腹一杯にロングになっているところに、さらにダイレクトディールで叩かれてロングになっていますから、マーケットは総投げ状態となり、何百ポイントも急落していく中、アンディーは低めのビッド(買い値)をブローカーに出し、静かに利食ったということでした。
凄いパワーディールでしたが、これだけ派手に立ち回ると、あっという間に手口はマーケットに読まれ、結局長生きはできませんでした。
ただ、一世を風靡したという意味では、彼の右に出るものはなかなかいないと思います。