売り切り玉、買い切り玉
自動車会社のような輸出企業では、外貨で受け取った輸出代金を円転(外貨から円に交換)する場合、外貨を売って円を買うだけで、外貨に戻すことがないままに、為替取引は終了します。
こうした外貨を売って、取引が完結する玉を売り切り玉と呼んでいます。
また、原油を輸入する石油会社のような輸入企業では、外貨建ての輸入代金の支払いのため、円投(円から外貨に交換)する場合、外貨を買って円を売るだけで、円に戻すことがないままに、為替取引は終了します。
こうした外貨を買って、取引が完結する玉を買い切り玉と呼んでいます。
よく、こうした貿易取引の金額は、今の投機を含めた資本取引には、金額的には到底かなわないので、貿易取引を見ても相場は分からないという意見が出てきます。
しかし、貿易取引を、輸出では売り切り玉、輸入は買い切り玉であるという点は、無視できません。
つまり、投機筋のように、売ったら買い戻さなければならない、買ったら売り戻さなければならないという玉の場合、結局はどこかで、ポジションをセット・オフ(手仕舞い)するために反対売買をしなければなりません。
その点において、売り切り玉や買い切り玉とは根本が違います。
したがって、投機筋が一時的には実需に勝っても、結局、時間の経過とともに、ボディーブローのように、実需の売り切り玉や買い切り玉が効いてくることが多いと言えます。
尚、機関投資家の場合は、外貨を長い期間買ったままにしておく点においては、実需と似ていますが、いずれは外貨売り円買いをする必要があるという点では、投機筋に似ています。