為替取引とは、同額の売りと買いがあって、初めて成立します。
それだけを見ると、同額の売り買いですから、ポジションは発生しないことになります。
しかし、この売り買いの背景を見てみますと、やはりポジションは発生しています。
たとえば、あるドル/円の取引で、ドル売りが輸出企業で、ドル買いが投機筋だとします。
輸出企業は、海外から輸出代金をドルで受取り円に換えようとします。
円に換えるまでは、輸出企業はドル建の代金を受け取ってから、いわばドルのロングのポジションを持っていたことになりますが、この為替取引でドルを売って、スクェア(ポジションなし)になります。
一方、ドルを買った投機筋は、この取引でドルを買ったことによって、ドルロングとなります。
したがって、この一取引でも、ドルロングが発生していることになります。
もちろん、偶然にしても、輸出企業と輸入企業との間での直接的な為替取引きもありえます。
この場合は、海外からドルを受取って、いわばドルロングとなっている輸出企業と、海外にドル建てで仕入れ代金を支払う必要性があって、いわばドルショートとなっている輸入企業との取引ですので、これら輸出入企業の間で直接取引が成立すると、その時点でポジションスクェアとなる場合もあります。
また、投機筋同士の売買もあり、取引成立により、片方の投機筋はロング、もう片方の投機筋はショートになりますが、ふたつ合わせれば、確かにスクェアなります。
しかし、もしロングの投機筋がすぐにポジションを閉じれば、ショートの投機筋だけが残り、ポジション的にはショートが残るということになります。
このように、マーケットでは無数の取引がなされ、それぞれの決済するまでの時間の長さによって、ある時点で残ったポジションがロングかショートに偏り、マーケットのポジションが出来上がっていくわけです。