呪縛
外銀にいた頃、外為営業を担当していましたが、いろいろな取引先企業とお話してみて、本来円高は不利なはずの輸出企業の為替担当者に限って円高派で、また本来円安が不利なはずの輸入企業の為替担当者に限って円安派の傾向があることに気づきました。
察するところ、やはり、常日頃からそれぞれにとって最悪を想定しておられるために、輸出企業の為替担当者にとっては円高進行の可能性に細心の警戒感を持っていることが嵩じて円高派になっているのだと思います。
それと同様に、輸入企業の為替担当者にとっては円安進行に神経を尖らせているために、円安派になるのではないかと思われます。
個人の投資家の方々とお話してみますと、依然として、円安派の方が多いように思います。
それは、特に相手の通貨が高金利通貨であればあるほど、金利を支払うことに対する抵抗感をお持ちになっている方が多いためのようです。
また、それに加えて、為替という売りでも買いでもどちらからでも入れるとは頭ではわかっていても、持ってもいない通貨を売る(ないものを売る)ということに抵抗感を持っている方もいらっしゃいます。
輸出企業は海外に輸出した製品の代金を外貨で受取り円に交換するため常に円買いになり、輸入企業は海外から輸入した原油や製品の代金を外貨で支払うため常に円売りとなる宿命を持っています。
しかし、個人の投資家の方々には、そうした束縛はありません。
より自由な相場観から相場を張れるというフリーハンドがある以上は、あえて自らを既にお話したような呪縛から解き放って、身につけることが大切ではないかと思われます。