鋼(はがね)のしなやかさ
いったんポジションを持ってしまうと、自分の相場観に固執してしまいがちです。
それが嵩じて、かわいいポジションという言葉があるのだと思います。
しかし、相場を経験すればするほど、いかに相場というものが千変万化であるかを知ることになると思います。
その千変万化は、ある意味では、相場の世界ではあたり前のことだと個人的には考えています。
なぜなら、相場を構成しているいろいろな材料は、常に変化しており、同じ材料でしかも同じ結果に対する反応ですら、時に応じて反応は変化をしています。
さらに、新しい材料が加わってきたりもしますので、いろいろな材料が、かなり複雑に絡み合っています。
したがって、相場を構成している材料もその内容を受けとめるマーケットのセンチメント(心理)も常にかつ不規則に変化していることは、相場ではごくあたり前のことだと言えます。
ですから、最初に抱いた相場観が陳腐化してしまっても、それはあたり前のことで、ある意味、気にする必要はないと理解して良いと思います。
こうしたいろいろな不確定要素の変化に瞬時に適応し判断していくことが、トレーダーには要求されます。
トレーダーは判断してポジションを持てば話が済むという問題ではありません。
その後も、材料は不規則に変化していきますので、それに応じて、ポジションの続行、終了、反転などの次の行動を先に先に考えていかなくてはなりません。
そうして考えてみますと、自分自身の相場観に固執することも時としては大事ではありますが、同時に変化していくマーケットへの柔軟性も兼ね備えておかなければ、相場に勝つことは難しいと言えます。
そういったことから、私は、トレーダーには、鋼(はがね)のしなやかさが必要だと考えるわけです。