ポンドとスイスフラン
通貨と国民性を語る上で、正直なんでだろうと思うのは、ポンドです。
イギリス人に対して、基本的には、温厚な印象があるのですが、なぜポンドがあれほどボラタイル(変動の激しい)な通貨なのかと思います。
ロンドンにいて感じることは、ロンドンは、イギリスの首都であるとともに、英連邦の宗主国の首都であるということです。
街には、中東、アフリカ、インド、パキスタン、香港、オーストラリアなど、現在も英連邦だったり、元英連邦であった国・地域から移ってきたいろいろな人種・民族、そして近年増えたロシア人などが住んでおり、人種のるつぼという点では、ニューヨークに引けを取りません。
その中には、中東やロシアなどの尋常でない大金持ちもいて、こうした人たちが、主要通貨と言いながらも、リクイディティー(流動性)の低いポンドで、投機的に暴れまわっていることが、ポンドの荒れる原因のひとつなのではないかと個人的には考えています。
しかも、イギリス人自身も、温厚に見えながら、冒険好きで執念深いところがあることも影響していると思われます。
余談ですが、ロンドン市場では、ケニアポンドとか、クェートディナールとか、インドルピーなど、日本ではなじみのない通貨の取引も行われていて、ロンドンが世界の通貨取引の交差点であることを実感します。
一方、スイスフランはまた違った側面を持っています。
スイスフランの国スイスは、永世中立国であることで有名ですが、主たる産業は観光と金融です。
観光に関しては、世界から訪れる観光客に対しては、非常にフレンドリーですし、またナンバーアカウント(無記名口座)に大口の資金を預けてくれる顧客に対して、スイスの銀行は丁重に対応してくれます。
しかし、非常に保守的な国民性で、かれらの生活空間に外国人が入り込むことを好みません。
為替の世界でも、同じようなことが言えます。
以前、アジアタイムでもUSD/CHF(ドル/スイスフラン)が激しく売買されていました。
しかし、スイスフランのマーザーマーケット(本拠地)であるチューリッヒ市場が入ってくると、瞬く間に、スイス勢は、彼らが思うスイスフランの水準に力づくで持っていこうとするところがあって、自国通貨の水準は、自分たちで決めるという意志を強く感じました。