押し込み輸出(無視できない実需取引)
本邦輸出企業が、月間の輸出実績を上げようと、追加の輸出を月内に押し込むことから、押し込み輸出と呼ばれています。
このため、月末の週になると、輸出企業からのドル売りが強まり、相場を押し下げる要因となります。
特に、この傾向は、業種的には自動車で良く見受けられます。
他に、こうした実需の事情から、相場に動きが出るのは、既によく耳にされていることと思いますが、5・10日(ことうび)の本邦輸入企業の輸入決済によるドル買いが上げられます。
輸入決済とは、輸入した原材料や製品の代金を海外の輸入先にドルで支払うことを言います。
日本が海外から最も輸入しているものが石油ですので、石油の輸入決済に基づくドル買いは、特に仲値前に目立ちます。
このように、ドル/円相場は、日本が、燃料や原材料を輸入し、製品に加工して輸出するという輸出入企業の需給、つまり実需筋の動きを無視して、相場を見ることはできません。
さらに、最近では、所得収支という海外への投資から受取る利息や配当金を円に交換するためのドル売りが大きくなっています。
ドル/円は、このように基本的に需給の相場ですから、月間でも需給にタイムラグがあって売りが強まったり、買いが強まったりしていていることに、注意が必要です。