私は、ロンドンでの4年間の駐在を終えて、東京のディーリングルームに着任して最初の仕事は、ロンドン時代と同じスワップディーラーでした。
皆さんもポジションを翌日にキャリーする時に行うスワップ取引ですが、私は、そのスワップでポジションを張っていました。
もちろん、ポジションを翌日にキャリーするための、オーバーナイト(O/N)と言われる1日物のスワップではなく、期間はもっと長い6ヶ月物とか1年物で張っていました。
スワップディールは、2国間の金利差が拡大するか、縮小するかを予測してポジションを張るトレーディングです。
スワップは、スポットと言われる、いわゆるFXよりも、値動きが小さい分、張る額が何十倍も大きく、かなり大きなポジションを、スポットよりも長期に持ちます。
ロンドンから東京のディーリングルームに戻って、リスク許容度がロンドン支店よりもはるかに大きくなったため、私も相当大きなポジションを張っていました。
そうこうしているうちに、最近、ニューヨークから大玉が出ているという話が耳に入り、そしてたちまちにして、その相手とマーケットでぶつかり合うことになりました。
たしかに、パワフルで、切れるディールをするやつだと感じました。
そんなある夜、今までキャリーしていたポジションを手仕舞おうとした時、彼とブローカーさん(仲介業者)を通じてぶつかりました。
こちらも、相当大きなポジションを持っていて、いくらでもやる気でいましたし、対する相手もいくらでも受けるぜという感じがひしひしと伝わってきて、がぶりよつになりました。
結局、金額の下の下までつけて、ポジション全額を彼とディールしました。
それから、何日かして、国際電話があり、「オレだよ。今香港にいる。明日東京に行くんだけど、会えないか」、やつからでした。
そして、翌日、初めて会いました。
パワーを感じるイタリア系のアメリカ人でした。
彼は、当時、バンカーズ・トラスト(後にドイツ銀行と合併)、ニューヨークにいたジョー・メモーニというディーラーです。
旧知のように話は盛り上がり、その後、ニューヨークでも再会しました。
アメリカ人は残業しないと言いますが、彼の場合、確かに彼も午後4時には帰りますが、朝オフィスに入るのが午前4時というハードワーカーでした。
しかも、家族思いでいいやつです。
