相場は生き物
年の初めに、今年の相場はどうなると考えることは、当然だと思います。
しかし、それがマーケットのコンセンサス(複数の人の合意や意見の一致)になってくると、相場の上では要注意です。
つまり、大勢意見になっていくということです。
特に、年の初めは、ある意味気合がはいっていますから、盲目的ともいえる「こうなる」という決め打ちにマーケット全体の考え方がなりやすくなります。
しかし、ここでよく考えてみてください。
相場とは、生き物であり、それを構成する要素は、どんどん変わります。
新しく入ってくる要素、消えていく要素、変わらず残っている要素などによって、相場は似て非なるものになっていきます。
ですから、相場は「こうなる」と決め打ちすること自体、危険なことです。
たとえば、昨年の年初に、その年にドル/円がピーク時に37円も上がると予想した人がどれだけいたでしょうか。
むしろ、それまでの5年間の値幅17円に、今年も収まるのではないかという見方の方が強かったのではないでしょうか。
それが、昨年2月24日にロシアのウクライナ侵攻という新しいファクターが入り、そして3月16日の米FOMCでそれまで0.00~0.25%にあった政策金利の引き上げを開始し、12月には4.25から4.50%にまで引き上げられました。
この二つの新しい要素だけでも、政治社会経済情勢は大きく変化し、それによって相場も変化しました。
そして、今、2023年のスタート点で、今年の相場がどうなると決め打ちすること自体にどれほどのものがあるかと言えば、単にこれまでを振り返り、これまでのレールに沿って考えれば、こうなるかなということぐらいでしかないと思います。
そうは言っても、先行きに対する目安としての予測は必要です。
そして、2月末の現在において、既に当初の見通しとは変質してきています。
従って、大事なことは、常に予測は、現実との間に乖離が生じるものですから、何度も見直し調整する必要があるということです。