トレンドはフローによって作られる(怒涛の如く動く)
たとえば、米雇用統計が発表されると、結果が予想に対して良かったか悪かったかによって、相場は上げたり下げたりします。
しかし、それが、主に投機筋の売り買いによるものであれば、翌週のどこかのタイミングで、手仕舞いのための反対取引が行われ、上がっていれば下がるし、下がっていれば上がります。
つまり、単に、経済指標の結果に対して、必ず利食うなり損切るために反対取引をしなくてはならない投機筋がポジションを持っていたのに過ぎず、トレンドは形成されません。
相場がある程度長い期間、一方向に動く、いわゆるトレンドになるためには、フロー(資金の流れ)がなくてはなりません。
ここでいうフローとは、たとえば、いったん買ったら、そう簡単に売りに回らないような資金の流れが必要です。
その流れは、一般的には、中央銀行とか、政府系ファンドとか、ペンションファンド(年金の運用機関)といった機関から出る資金によって作られます。
こうした機関は、そう簡単には、資金を動かすかどうかの結論は出しませんが、ひとたび動かすと決まれば、怒涛のごとく動かしますので、ものすごい流れになる時があります。
それでは、こうした機関が、どういう理由をもって、資金を動かすことを決断するかと申しますと、ひとつには、高利回りの運用という前向きな理由からです。
しかし、多くの場合は、資金を置いている国・地域でリスクが発生した場合、つまり後ろ向きな理由からです。
どちらが、より影響が出るかと言えば、やはり早くリスクから逃避したいということから、後ろ向きな理由からのフローが、よりマーケットに影響を及ぼします。