アイドル・マネー(遊んでいるお金)
アイドル(idol)と言えば、ミニスカートのかわいい新人女性歌手のイメージですが、財務上では、綴りもちがいますが、アイドル(idle)というのは、「使われていない」、そしてアイドル・マネーとは、「遊んでいる資金」という意味です。
企業の財務担当者も、銀行の資金運用担当者も、アイドル・マネーは、利息(つまり利益)を生みませんので、資金が遊んでいないかをチェックし、遊んでいる資金があればせっせと運用しています。
私は、ロンドンに駐在していた時、スワップディーラーのかたわらユーロ円のディーラーでもありました。
ユーロ円というと、FXのEUR/JPYのことかと思われますが、ここで言うユーロ円は、日本国外にある円資金で、ユーロダラーという米国外にあるドル資金と同じ性格のものです。
なぜ、ユーロというのか言いますと、歴史的な背景は、1971年のニクソンショックまではドルは金とリンクしていて、発行には限界がありましたが、米国内の完全雇用と財政政策を支えるために金融政策緩和を望んだ当時の米政権によって、ドルは発行の制約から解き放たれ膨張(つまり国外流出)することになり、ユーロダラーが生まれました。
当初西ヨーロッパ諸国で運用されたため、ユーロと呼ばれ、その後、円のような他の通貨でも、通貨の発行国外での資金取引が活発になり、これらをユーロなになにと呼ぶようになりました。
それで話は、私のロンドン時代のユーロ円ディ-ラー時代に戻しますと、アイドル・マネーを作りたくない他の地域の銀行の資金を預かり、私自身もアイドル・マネーを作りたくありませんので、ロンドンのユーロ市場でせっせと運用していました。
取引最低単位は、10億円で、これを1ヤード(1yard)と呼んでいました。
意外と円で運用しようとする海外の銀行、特に中央銀行が多く、結構な額の取引が成立しました。
変わったお得意さんが、地中海の島国の中央銀行でしたが、どうしてこの国にこんなに円資金があるのかと一度ならずも首を傾げたことがありました。
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