足るを知る(うまい話にはウラがある)
私は、「見てくれのいい」という言葉が嫌いです。
ことの発端は為替オプションなどを駆使して表向き高利回りな金融商品を開発している担当者が盛んに「見てくれがいいモノ」と言うものですから、あまりに自己の利益を優先して、顧客をないがしろにしていると思い、大変腹が立ったことがあったからです。
見てくれよく出来ている商品とは、思わず引きつけられるような魅力のある商品に見えるものの、その実、商品の中身がブラックボックスになっていたり、よくよく説明書を読んでみると、状況によって大変なリスクを負うとか、権利が消滅するといった商品です。
どうしても、表面の利回りの良さに飛びついてしまいがちですが、それほど世の中は甘くはなく、結局ババを引くのは買った方となります。
こうした見てくれのいい商品のひとつが、過去に大変な問題に発展したサブプライムローンを使った金融商品です。
サブプライムローンは住宅ローン担保証券(RMBSもしくはMBS)の形で証券化され、さらにそれらが債務担保証券(CDO)の形に再証券化されて、金融商品として金融機関や投資家に販売されました。
低所得者層向けの住宅ローンですから金利が高く、それの証券化商品ですから見てくれはいいですが、住宅ローンの返済方法が、当初数年間金利を低めに抑えたり、当初数年間は金利のみの支払いを行ったりと、当初の返済負担をかなり軽減したものが普及しました。
そのため、ローンの借り手が自分の返済能力を無視した借入を行うことが可能となって貸付が増加したというシロモノですから、遅かれ早かれ破綻することは目に見えていたと言えます。
しかし、見てくれのよさに金融機関や投資家が飛びついてしまったところで債務の延滞が続出し、融資専門会社が資金繰りが悪化し、さらに大手金融機関に問題は飛び火するというドミノ倒しのような状況となりました。
大手金融機関の四半期決算で1兆円とか1兆5千億円の損失が発表され、これでも大丈夫なのかと見ていましたが、やっぱりいくつもおかしくなっていきました。
結局、見てくれがいいと言って、目先の利益を飛びついたがあまりに、大手金融機関ですら屋台骨が揺らいだことを、教訓としてよく記憶に残しておくべきではないかと思いました。
足るを知るということが、肝要だと思います。