トレーダーは一人企業の経営者(自己完結できる)
トレーダーとは、基本的には、プロであっても、プロでなくても、あるいは専業であっても、兼業であっても、基本的には、一人企業の経営者だと思っています。
私が、初めてそう実感したのは、日本の銀行でディーラーをやっていた頃でした。
もちろん、組織ですから、マネージャーはいましたが、それ以前の問題として、ディーラーとして、どの通貨ペアでトレードし、トレードのスタイルは、スキャルピングにするのか、デイトレにするのか、あるいはスイングにするのか、またポジションの大きさ、あるいはトレードをする中心的な時間帯なども、可能な限り自分で決められました。
そして、実際にトレードをある期間やって、結果が出てみて、自分の方針に照らし合わせて良かったのか、悪かったのかといった一連のことが自己完結することができます。
つまり、最初から最後まで、自分が責任を取る、言い換えれば、自分で自由にできるということです。
これは、市場部門の魅力的なところで、いわゆる伝統的な銀行業務である、融資部門になりますと、いわゆる稟議(りんぎ)制度による合議制です。
稟議制度:会社・官庁などで、係の者が案を作成して関係者に回し、承認を求めること
ですから、融資部門は、よく言えば、複数の人間が、ひとつの案件を、いろいろな角度から見て、良し悪しを判断するので、間違いが少ないとも言えますが、逆に責任の所在がはっきりしなくなってしまいます。
よくあったのは、シンジケートローンが焦げ付いた時、その融資の責任を誰がとるのかはっきりせず、暗礁に乗り上げるということが起こりがちでした。
シンジケートローン:複数の銀行が連携して同一条件で行う法人融資の一種
したがって、個人的には、自己完結できる市場部門、つまりディーラーが、融資部門よりもずっとすっきりしていて好きでした。
これは、個人FXの皆さんも同じで、各自が一人企業の経営者であり、どうやって儲けるかという方針は自分で決められますし、儲けは総取りです。
つまり、自分の知恵と工夫次第で、なんとでもなるわけです。
また、なんといっても、身軽ですから、間違ったと思えば、方針転換は即座にできます。
そういうことで、トレーディングは、実にやりがいのあるものだと思います。