情報の優位性で勝つ(本邦勢に勝機)
ここ2年ぐらい、発信する相場見通しを含めた情報を、ドル/円に大きくシフトしています。
実は、インターバンク時代、ドル/円よりも、ユーロ/ドルやポンド/ドルの方が動きにメリハリがあって好きで。どちらかと言えば、はっきりしないドル/円は敬遠しがちでした。
ところが、ドル/円のチーフディーラーを命ぜられ、やってみると、面白さが分かってきました。
何と言っても。円の情報は、邦銀にいる以上、銀行内部からも、他の銀行からも、取引先からも、そして日銀やマスコミからも結構入ってきました。
それこそユーロ/ドルやポンド/ドルでは、情報はまさぐるようにしてしか手に入りません。
しかも、自分たちのところに情報が入ってきた時には、すでにマーケットでは皆が知るところとなっていて、むしろそれを知って遅まきながら相場に入れば、海外勢の利食いに充てられるばかりでした。
その時に痛感したのは、いかに優位性があるということが、収益獲得のために重要かということです。
しかし、最近で言えば、2017年から2021年に掛けては、ドル/円が4年間で17円という狭いレンジにはまってしまい動かなくなってしまって仕方なく、他の通貨ペア中心に見ていました。
ところが。2022年からドル/円は大きく動くようになり、しかもその原因は、表向き日米金利差の拡大とは言われましたが、調べていくうちに、実は日本のドル不足のドル買いという日本の構造問題にあることがわかりました。
したがって、これは、本邦勢に大いに情報の優位性があると気づき、それ以来、情報発信も、ドル/円中心としました。
そして、相場が進行していくに従って、内外のドル/円の情報量や相場の背景に対する理解度には大きな格差があることがわかり、これは圧倒的に本邦勢に有利な相場になると確信しました。
この優位性ということの重要性について、私が実体験したことがあります。
私は、三和銀行という都銀が13行あった時の、上位5行の最下位の銀行にいました。
非常に自由闊達な行風で、大変好きでしたが、やはり、三菱、住友といった財閥系の上位行には、体力的にはかなわず、その弱さを補うために、国内外のマネー取引や為替といった市場部門が相当なリスクを負って、かなりの利益を稼いでいました。
しかし、いつも思ったのは、やはり優位性があるのとないのとでは、言い換えれば企業の体力の差が厳然としてあるのを覆すのは、大変なことだということでした。
それだけに、次にもし企業に入るなら、絶対に業界トップの企業に入ろうと思いました。
要は、メジャーは強いということです。
こうしたことから言えることは、要は、今、本邦勢は、圧倒的に海外勢よりもドル/円の情報で優位性があります。
このドル/円での優位性を自分たちの武器として活用しない手はないということです。
ただし、情報は豊富にあっても、本邦勢の逆張り方式のトレーディングでは、このドル/円の大きな流れに乗りきれません。
むしろ動くようになったドル/円相場にうま味を感じて参入してきた海外勢の食い物になるばかりです。
そこでこれまでも申し上げてきました「売りでも、買いでも、波に乗り、さっさと利食う」という順張り方式をお勧めしているわけです。
弱ってきたとは言え、相手となる海外投機筋はパワーのあるプロのトレーダー達ですから、正面からぶつかっても勝ち目はありません。
したがって、彼らが作る波に乗って、コバンザメのように運んでもらって、そして離脱して、利益を得るということが、最善の策だと思います。