覆面介入(それが常識ではない)
今回2022年9月に為替介入が再開される前の最後の介入が。2011年11月のドル買い円売り介入でしたので、11年間のブランクがありました。
そして、最近の政府・日銀は、覆面介入(ステルス介入)しかやりませんので、為替介入は、そうした覆面介入でやるのが、普通だという誤解をたぶん皆さんお持ちだと思います。
しかし、実は、覆面介入が異例で、あるべき介入とは、介入を実施すると同時に実施したと、為替当局が公言するものでした。
この公言することによって、マーケットを沈静化させることをアナウンスメント効果と言います。
実は、この公言する介入が、国際的にも普通です。
ECBができる前の、ドイツの中央銀行である、ドイチェ・ブンデス銀行(ドイツ連銀)が介入のうまさでは定評があって、少額の介入でも、ブンデスが為替をやったといえば、アッと言う間にマーケットは沈静化しました。
そのため、ブンデスは、多くのマーケット参加者から畏敬の念を持たれ、BUBA(ブバ)という愛称で呼ばれていました。
私自身も、大変なファンで、わざわざ、BUBAのフランクフルト本店まで行き、チーフディーラーにお会いしたこともありました。
さすがに、BUBAのチーフディーラーだけあって、本当にマーケットに精通されていたことを思い出します。
一方、2011年の頃の日本の政府・日銀の介入も覆面介入で、当時私は外資系銀行にいましたが、上司のカナダ人のトレジャラー(部長みたいなもの)が、なんで名前を隠して、覆面で介入するのか、意味が分からないと言っていましたが、本当に海外勢は、覆面介入の意図を図りかねていました。
私がその理由を聞いたところでは、やったのかやらなかったのかが分からないことで、市場を疑心暗鬼に陥らせるためだということのようでした。
しかし、最近の巨額介入の実施を見ていると、やったとしか思いません。
むしろ、日本らしい匿名性を狙っているように思います。