思い込み(相場反転のきっかけ)
マーケットの参加者は、余程のことがない限り、「この相場、上がるしかない」とか、あるいは「下がるしかない」と思い込むことはありません。
しかし、いったんマーケットの多くの参加者が、「上がるしかない」、あるいは「下がるしかない」と思い込むと、相場は猪突猛進することがあります。
たとえば、米雇用統計のような重要な経済指標が、予想より大きく上ぶれたり、下ぶれたりした時や、米FRB議長やECB総裁が予想外の見解を示した時などは、急速に思い込みが強まり、あっという間に、ポジションは一方向に偏ります。
ただし、思い込みが投機筋中心であった場合は、思い込みの反動も大きくなります。
過去にこんなことがありました。
ニューヨーク時代のことですが、ある日、なにも前触れもなく、突然、ニューヨーク連銀がドル/円の売り介入を実施したことがありました。
虚を衝かれたマーケットはパニックとなり、ドル/円は売られ、次に始まった東京までには、介入時点の水準から5円も急落しました。
マーケットは、突然のことに売り遅れたと見え、その後、戻り売りとなりましたが、それによって、急速にポジションはドルショートに傾き、相場は下がらなくなって、逆にジリ高となりました。
その結果、段階的に買戻しが出ることとなり、ショートの損切りに一時介入のスタート点を上回るまで戻してしまいました。
このように、投機筋が思い込んでしまった時は、その反動の方が大きくなることがありますので、注意する必要があります。