フローのある相場、ない相場 (資金移動が伴うか)
投機の相場では、いかに多くのマーケット参加者が、「これは売るしかない」、「これは買うしかない」と思い込むことが相場の動く原動力になります。
しかし、マーケットが、そう思い込むには、それ相応の理由が必要です。
ある時はタイミングを推し量ったように材料がポンと出てきて、マーケットがサプライズして動く場合もあれば、ある時は、マーケットが半ば強引に、ある材料を相場を動かす理由に仕立てたりすることがあります。
ただし、そうした理由から動いた相場に共通していることは、相場を動かしているのが投機筋で、一方向の動きは長続きしないということです。
つまり、投機筋は、売ったら買わなければならない、買ったら売らなければならないという宿命があるため、長くはポジションをキープできず、レンジ相場になりやすいと言えます。
一方、長期間にわたって一方向に動くトレンドになるには、一方向への資金のフロー(流れ)を作る投資家筋や実需筋が動かなければなりません。
投資家筋の場合、余程のことがない限り、簡単には動き出しません。
しかし、特に、この国・地域に資金を置いておくことは危険だと、いったん判断すると、怒涛の勢いで資金を他の国・地域へ移動させます。
実需筋の場合、構造的に、円からドルへ資金が動くようになっていることがあります。
これによって、トレンド相場が形成されます。
大事なことは、今の相場が、投機筋主導の相場なのか、投資家筋や実需筋主導の相場なのかを、見極められるようになることです。
そのためには、今、テーマとなっている材料が一時的なものか、あるいは長続きしそうなものかを判断できるようになることが必要です。
ひとつの判断の仕方としては、そのテーマが、たとえば「日本の政治・経済の現状から言って、円高になるべきだ」といった精神論的なものはフローはつかないためレンジ相場になりがちです。
それが、需給関係がドル不足(ドルが足りない)とか、投資妙味が極めて高く実際に投資するとか、あるいは自分のお金がなくなるかもしれないというリスクがあるので逃避するようであればフローが実際につきトレンド相場になりやすいと言えます。
このように、今のテーマにフローがつくかどうかというところに、トレンド相場形成のポイントがあると思います。