一寸先は闇(常にある一定の緊張感を持つ)
今、思い出しても背筋が凍るトレーディングがありました。
それは、ニューヨーク時代のある日、ドル/円のロングポジションを結構持っていた時でした。
しかし、上値が重く、少し上げても高値に止まれず、またズルズル下がってしまい、これはどうも上がりそうにないと判断し、ロングのポジションを落として、ポジションスクエア(ノーポジ)にしました。
本来であれば、そのまま様子見になるところですが、依然として上値が重いことが気に掛かり、それならば売ってみるかと、今度は買っていたのと同額分を売りました。
しかし、売ったからと言って、すぐ落ちる気配もないままに時間が立ちました。
ところが、突然、ロイターのヘッドラインのアラームが鳴ったので、なんだろうと見たところが、「ニューヨーク連銀(中銀)、ドル/円で売り介入」とニュースが報じられ、目を疑いました。
驚いたのは、私だけでなく、マーケット全体も同様で、次のマーケットである東京でも、さらに急落し、介入の第一報から5円の急落となりました。
この時、やはりたっぷりショートポジションを持っていた上司から、「こんなラッキーなことはないから、ショートポジションをすべて利食おう」と言われ、何の未練もなく、すべて手仕舞いました。
本当に、ラッキーだったと思います。
なぜなら、もともとポジションをロングにしていたのですから、ロングに固執しているところに介入がもっと早く出ていたら、急落の中、ロングポジションをどこで損切れたかもわからないような即死状態に陥るところでした。
それを考えるだけでも、鳥肌が立ちました。
この時、実感したことは、漫然とボジションを持たないこと、そして自分の五感を信じることでした。
相場の世界は、一寸先は闇です。
それだけに、ポジションを持っている限りは、常に緊張感を持つことが大切だということです。