海図なき航海(チャート分析の落とし穴)
後に日銀総裁に就任された速水優(はやみまさる)氏が著した「海図なき航海―変動相場制10年」という為替の世界では有名な本があります。
今回は、この題名である「海図なき航海」をお借りして、チャートについてお話ししたいと思います。
チャートは、過去については表してはくれますが、将来については予測するしかありません。
したがって、トレーディングとは、まさに海図なしに航海しているようなものです。
そうすると、過去のチャートの形状から、将来を予測しようとします。
よくあるのは、現在のチャートパターンが過去のあるチャートの部分と似ていると、今回もまた同じようなパターンになるのではと期待が膨らんでしまうことです。
しかし、過去のチャートパターンに気づき、今回も同じようなパターンを踏むのではないかと考えるのは、決して自分ひとりだけではないと考えておくべきだと思います。
多数のマーケット参加者が気づき、同じようなポジションを持つことになり、そのため、ポジションが一方向に偏ってしまって、その結果、過去のパターン通りにはいかずに、偏ったポジションの逆方向に相場が損切り的な手仕舞によって動いてしまうことはよくあります。
酒田五法に「相場に同じ顔なし」という言葉があります。
つまりは、同じように見えるチャートパターンでも、決して同じではないということを、日頃から肝に銘じておくことが大切だと思います。