思考の延長(柔軟さが大事)
1985年のプラザ合意以降、10~15年間、ディーラーの思考は常にドル売りでした。なぜなら、ドル売りで儲けたからです。
ご存知のように、1985年9月22日、ニューヨークのプラザホテルで開かれたG5(先進5カ国蔵相・中央銀行総裁会議)で、米国の対外不均衡解消を名目とした協調介入への合意がなされました。
しかし、実際のところは、対日貿易赤字の是正を狙った、円高ドル安政策が合意されたものでした。
この発表の翌日1日で、235円からなんと20円もドルは急落し、その後時には大き目の戻しもあったものの基調的には下落を続け、1995年4月19日には最安値79.75をつけるに至りました。
この間、ディーラーのトレーディングスタイルは、ドル売り先行でした。
ドルを売っていれば儲かるという相場でしたので、ドルが下がれば「ここで売らないともう売り場はない」と言っては売り、戻せば「こんな絶好の売り場はない。ここで売らなきゃどこで売る」と言っては売り、ともかく何でも売りの状態となり、ディーラー達の思考は、ドル売りで塗り固められていました。
こうなると、思考回路が、売り方向にしかついていけなくなっているので、上げの相場に全くついていけないディーラーが続出しました。
そして、ドル上げで大やられして、市場を退場していったディーラーも、何人もいました。
一般的には、最初は売りで塗り固められていたけれども売りでも買いでも対応できるにように自分を変身させた者は残り、最後まで売りで通した者の多くは、市場を去っていきました。
それでも、頑固に売りで生き残っているディーラーもいます。その生き残り法は、下がる相場しか入らない。上げの相場には手を出さないを徹底させたことです。