おごれる者久しからず(謙虚であれ)
相場に携わっていると、思わずこのくだりを思い起こすことがあります。
平家物語
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす おごれる者久しからず ただ春の夜の夢のごとし 猛き者もつひには滅びぬ ひとへに風の前の塵に同じ」
現代語訳
「祇園精舎の(無常堂の)鐘の音は、諸行無常(万物は刻々と変化する)の響きあり。(お釈迦さまがお亡くなりになった時に白色に変ったと言われる)沙羅双樹の花の色は、盛んな者もいつかは必ず衰える道理をあらわす。権勢を誇る者も、永久には続かず。ただそれは春の夜の夢の如し。勇猛な者も最後には滅びる。それは全く風の前の塵と同じ。」
私のディーラー人生41年の間、大玉を振り回しマーケットを席巻したビッグプレーヤー達が、入れ代わり立ち代り現れては消え現れては消えしてきました。
ビッグプレーヤーは大玉を振り回し、はじめこそマーケットをパニックに陥らせ儲けはしますが、段々に他のプレーヤー達にその手口を読まれるようになって威力が衰え、そしてマーケットから去って行ったというのがほとんど全部です。
また、社会現象では、日本の1990年代初頭のバブルとその崩壊です。バブル最盛期には、「もう米国から学ぶものはない」というおごった言葉も聞かれ、その声が強まった時にバブルは崩壊しました。
リーマンショック前、米英がグローバルスタンダードと称して、自分達のやり方を世界に押しつけようとしましたが、サブプライムローン問題顕在化を機に崩落し、まさに「おごれる者久しからず」を地で行く有様です。
これは、なにも国単位だけの問題に限らず、個人単位でも、特に相場ものに携わる者である以上、心しておかなければならない戒めだと思います。
勝って兜の緒を締めよ。謙虚であること。そして足るを知るということが、相場においても人生においても大事なことではないかと思います。
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