倍返し(3倍返しもあり)
ポジションをハンドル(操作)するテクニックのひとつです。
最初に持ったポジションが、実際の相場と合っていなければ、傷が深くなる前に早々にやめるというのが、相場の基本だと申し上げてきました。
ただし、あくまでも損切りですので、損失は残ってしまいます。
これを、いったん休んで、改めて、別の取引で取り戻すことが、定石だと言えます。
しかし、損切りと同時に新たにリスクを取って、一転して利益に変える中・上級クラスの方法として、倍返しという手法もあります。
たとえば、ロング(買い持ち)にしていたポジション額の倍額売って、ショート(売り持ち)のポジションに転換するという手法です。
もちろん、これをやったからと言って、必ず損失が転じて利益になるという保証は全くありませんが、買ってみた感触から、これは、上げでなく下げの相場だと確信すれば、新たに損失を生むかもしれないリスクを覚悟の上で、新規の逆ポジションでやってみる価値もありです。
買いだと見た自分の相場観を全否定してポジションを売りにひっくり返すのですから勇気は入りますが、死地に活路を見出すという意味では意義のある手法だと思っています。
倍返しをするかどうかの私自身の判断の目安は、たとえば、最初買ってみて、思いのほか上値が重たいとか、売り圧力が予想以上に強いといったマーケットのリアルな状況を受け入れ、さらに新たに逆ポジションでリスクを持つことが、ためらいなく実際にできるかという踏ん切りです。
決して、どうしたものかと思い巡らすものではなく、やるかやめるか即決して、やるなら飛び込むことが大事です。
「振り下す刃の下ぞ地獄、飛び込んでみよ。極楽もあり」(「酒田五法は風林火山」より)の心境です。
これは、決して皆様に無理強いするものではなく、ご自身が今までの相場観を全否定して踏ん切って後悔しないかというところに関わってきます。
私は、インターバンクディーラーの頃、この倍返しでかなり救われました。
3倍返しと言って、当初のポジション額の3倍の逆取引をして、1倍部分で当初のポジションを解消し、残りの2倍額部分で逆サイドのポジションを持つことで、「3倍返しの水上」と他のチームメイトから呼ばれていました。
つまり、うまくすれば、損失の値幅の半分の値幅で損失を取り戻すことができる可能性があります。
ただし、リスクは、倍になりますから、その点は十分にご理解をお願い致します。
3倍返しをした時の心境は、間違いを解消したスカッとした開放感があります。