瓦とネット(網)
ディーラー仲間が異口同音に言うことは、「オーダーは、本数ではなく、件数が多いと抜けにくい」ということです。
この言葉が意味するところは、同じ水準に入れた同じ額の大口のオーダーでも、顧客1社が大口でドンと入れるよりも、多数の顧客が1件あたりは小額でも、件数がまとまって同じような大きな額になっている時のほうが、攻めてもオーダーが抜けきれないという経験則です。
因みに、本数とは、インターバンクでは、百万通貨単位を1本と数えて額を示しています。
なぜ、細かい額が件数多くまとまって大口オーダーとなっている場合の方が、攻めても抜けきれないのかの本当の理由は定かではありません。
しかし、イメージとしては、顧客1社が大口でドンとオーダーを入れるのが瓦一枚のように一見堅いけれども脆いのに対して、細かい額がまとまって大口オーダーとなっている場合は、それがネット(網)の役目を果たして、激しい攻めでも包み込むように受けとめてしまうからではないかと、個人的には、考えています。
インターバンクディーラーの間でも、オーダーの総額もさることながら、1件の本数が多いかあるいは件数が多いかを、結構気にしている向きは多いと言えます。
現在のように、個人投資家層が大きくなっていると、このネットの役を個人投資家層が担っているものと見ています。