隠れショート、隠れロング(相場急変の要因)
ショートのポジションを持っていても、ロングのポジションを持っていても、ポジションを持っている素振りを見せないプレーヤーは結構います。
しかし、ショートを持っていて大きく買い上げられたり、ロングを持っていて大きく売り込まれると、こうした隠れショートも、隠れロングも、我慢しきれなくなって、ロスカットに走ることになり、その存在が白日のもとにさらされることになるわけです。
なにも短期の隠れショートなり隠れロングだけではなく、もっと中長期にポジションを持っている隠れた存在があり、そうした中長期のポジションがロスカットをする時、大きな相場の変動要因となります。
私が、一番印象に残っている隠れ中長期ポジションは、1995年初春のアジア各国の円借款の償還でした。
円借款の償還とは、日本政府から借りた外国政府の円建ての借金(円借款)の返済(償還)のことで、返済時、円買い現地通貨売りを行わなければなりません。
1995年初春、円高が急激に進行したことにより、円借款が巨額の為替差損となって、アジア各国の経済に大打撃を与え、各国中央銀行は、やむなくロスカット的に、円借款の償還手当てのために、大量の円買いを余儀なくされました。
これにより、ドル/円は同年3月の寄り付き96円台後半から引け値86円台半ばまでの約10円の月足の大陰線を出し、さらに4月19日にはそれまでの円の最高値79円75銭まで突っ込みました。
広いマーケットの中には、こうした隠れポジションが存在し、相場の急変とともに表に現れ、マーケットに多大な影響を及ぼすことになりますので、どんな隠れポジションが存在する可能性があるのか、探ってみる必要があります。