デリバリーリスク(インターバンク取引の実態)
よく個人投資家の方から、インターバンクディーラーはどれぐらいのレバレッジでやっているのかというご質問を頂きます。
答えは、インターバンクディーラーには、レバレッジの発想はありません。
つまり、インターバンクディーラーは、レバレッジ1倍、言い換えれば、取引した金額全額を実際に相手銀行と受渡しをしています。
話を簡単にするためにドル/円レートを100円としてお話を進めますと、インターバンクで、たとえば、Aという銀行がBという銀行から1千万ドルのドルを対円で買ったとします。
B銀行から実際に1千万ドル丸々の金額がA銀行のニューヨークにあるドル口座に取引日から2営業日後に入金されます。
そして、代わり金である10億円をA銀行からB銀行の東京にある円口座に同日付で送金されます。
この送金手続きや入金確認といった事務手続きを、マーケットに張り付いているフロント(前線)のインターバンクディーラー自らがやるのは無理がありますので、バックオフィスと呼ばれる後方支援部隊にやってもらっています。
2営業日後にB銀行から代わり金が入るのを前提に同日付けでA銀行は円を支払っていますので、代わり金が入ってこないとなると、金額も金額ですので、大変なことになるわけです。
これを、デリバリー(受渡し)リスクと言います。
もっと細かく言えば、A銀行からB銀行への円の支払いは東京時間の日中に行われるのに対して、B銀行からA銀へのドルの支払いは、同日のニューヨーク時間の日中になりますので、A銀行からするとドルの受取りより円の支払いが、同じ日とは言え、先になるという時差によるデリバリーリスクが生じるということになります。
このリスクがある中でも取引が成り立っているのは、ひとえに銀行同士の信用があってこそというわけです。