一期一会(人的財産)
昔、東京でドル/円のチーフディーラーだった頃、フランスのある大手銀行のディーラーが訪問してきたことがありました。
面会時間になり、3人のフランス人が現れ、そのうちふたりがパリ本店から、ひとりは為替部長、もう一人はチーフディーラーでした。
そしてもうひとりは、ニューヨーク支店のチーフディーラーでした。
結構、お偉方が来たなと思いましたが、彼らの関心事は、今後のドル/円相場の見通しでした。
私は、マーケットの大方の見方とは異なる、自分なりの見通しを話しました。
三人の訪問者は、質問を交えながら、実に真剣に聞いて帰っていきました。
それから半年ぐらい経って、前回の訪問者のひとりだった、パリ本店のチーフディーラーが再び尋ねてきて、お前の見方に乗って、ドル/円のポジションを持って、結構な儲けが出たと喜んでくれました。
それを聞いて、こちらももうれしくて、彼を私が仲良くしている東京市場の他の銀行のディーラー達にも紹介しました。
そのフランス人も、東京で知り合いがいっぺんに増えたことに大いに喜び、その後情報交換を通じて交流が深まり、私も彼らのパリのディーリングルームを尋ねたり、また東京の仲間の中には、パリの彼のマンションに泊めてもらう者まで現れました。
お互いに補完しあって情報交換をすることで、内外問わず、仲間が増えることは、人的財産を増やすことになると個人的には思っています。
こうした人的財産を持つことが、巡り巡って、自分自身のためにもつながるものと考えています。