スペキュラティブ(投機的)
私がいた都市銀行は、非常にスペキュラティブ(投機的、speculatiive)で有名でした。
それは、為替のみならず、円債でもそうでしたし、円円スワップと呼ばれるインタレストレート・スワップの一種でもそうで、要は各マーケットで、大口で活発に売買し、他のマーケット参加者から一目置かれる存在でした。
なぜそこまで、投機的だったかと言いますと、当時都銀が13行あり、その上位5行が上位行と呼ばれていました。
私がいた銀行も、上位5行には入っていましたが、収益力では、財閥系などに押され、万年5位でした。
この万年5位から脱するためには、他行と同じことをしていても仕方がないということで、積極的に市場部門でリスクをとり、収益の拡大を追及しました。
市場部門各部署では、若手が配置され、彼らは大きなリスクをとることが任されていました。
営業など市場部門以外の部門も大健闘し、その甲斐あって、その後収益都銀ナンバー1となりました。
しかし、世の中には上には上があるもので、バンカーズトラストという米銀は、それはそれは、スペキュラティブでした。
一度、ニューヨークで、バンカーズのディーラー達と飲んだことがありましたが、バンカーズのインド人ディーラーは、こともなげに、バンカーズ/ニューヨークが持っている、ポンドのポジションが大きすぎるため、毎日BOE(英中銀)が、ポジションを国際電話で聞きにくると笑っていました。
一国の資金繰りにまで、影響するポジションとはいったいいくらぐらいなのだろうと思いましたが、その後、お互いそれぞれに合併し、今となれば懐かしい思い出です。