(メルマガコラムから)
先週金曜、FX経済研究所の本番直前、その前の番組のキャスターさんが、番組が終わるなり、「どうして、日銀が利上げしたのに、ドル/円は円安になったのですか?」と、聞いてこられて、ああ日米金利差の縮小によるドル安円高論は、ここまで常識化していたのかと思いました。
確かに、一見、日米金利差の縮小によるドル安円高論は、理屈に叶うように思います。
しかし、そこには、イメージと現実のギャップがあることを認識する必要があります。
先週の金曜、同様のご質問があり、それに対して、以下のようにお答えしました。
まず、根本的に、日米金利差の縮小によるドル安円高論は、この論法の生まれた2年前の2023年の暮れから、全く当たっていません。
確かに、先週金曜の日銀の0.25%の利上げを含めて、この2年間で、日米金利差は2.60%も縮小しています。
しかし、ドル/円は、ドル安円高になるどころか、2023年年末の141円から現在157円になり、真逆の16円のドル高円安です。
なぜ、真反対にドル/円は動いているか。
まず言えることは、日米金利差の縮小によるドル安円高論は投機筋のいわゆる連想ゲームに過ぎず、実態を見ていません。
実態とは、実際にこの2年間、ドルから円に大量に資金が移ったかということです。
想定される大きな資金の移動は、ひとつには米系証券の日本株・円債への投資であり、もうひとつは日本の機関投資家の代表格である生命保険会社(生保)のドル買い円売りで購入した米国債を売ってドルから円に戻す動きが本当にあったのかということです。
実際はありませんでした。
まず、米系証券は、ドルから円に為替リスクを負って交換することはなく、日本にある内外の銀行から低利の円を借りて、日本株・円債を買いました。
従って、為替は発生しません。
それでは、日本の生保はどうかと言えば、30年も前の話になりますが、バブルの崩壊によって、それまでドルを買って円を売って米国債投資をしていた生保は多大な損失を被り、以来生保は、為替付きの米国債投資に極めて消極的になりました。
つまり、現状、為替付きの米国債投資をほとんどしていないため、日米金利差が縮小しても、売るべき米ドル買い円売りによってできるはずの米国債のポジションがほとんどないため、ドル売り円買いはほとんど発生しません。
つまり、大きくドル売り円買いするところがないわけです。
そこに、単に日米金利差の縮小だからドル安円高の連想ゲームをやって狂ったようにドルを売って円を買ったのは、海外投機筋であり、日本の個人投資家層です。
どちらも投機筋ですから、投機筋の宿命からは逃れられません。
すなわち、投機筋は、例えば、売れば、損益確定のために、いずれ必ず買い戻さなければなりません。
ですから、日米金利差縮小だ!それいけ、ドル売りだ!と売っても、必ずどこかでは買い戻さなければなりません、
こうした、投機筋のショートが膨らみきって、年末を迎え、一部海外投機筋は、16日の米雇用統計の発表後売ったけれど、下がらなかったことから、買戻し、154円から155円に戻し結構ショートも買い戻したかのように見えました。
しかし、19日金曜の急騰で、我慢していた隠れドルショートが予想以上に多かったことがわかりました。
ご質問への回答は以上となりますが、本当に、連想ゲームで相場を見ている人は多く、実際を観察している人が少ないことがわかります。
2023年の年末に日米金利差縮小によるドル安円高論が始まって以来現在までに、日米金利差は確かに2.60%縮小しているにも関わらず、ドル/円が141円から157円まで16円もドル高円安になっていたことを、観察していた人は極めて少ないことが、今回過去2年間に及ぶ相場で、明らかになりました。
これが、大勢意見の怖さです。
自分の目で実際を見ず、お仕着せの耳障りの良いイメージだけで相場を見ているとこんなことになってしまいます。
そういう意味で、自分の目で確かめること、観察することが大変大事です。
年末になって、こんな大勢の予想に反する相場になってしまったためか、この年末は、来年の見通しが、識者からあまり聞こえてきません。
個人的には、なんだろうなあといろいろ考えてはいたのですが、結局、来年の相場は「円安」なのかなと、現在考えています。
ドル/円でも、クロス円でも、長期的な重要ポイントを、超えようとしていたり、既に超えてきていたりしています。
大幅な円安が、来年進行するものと現在見ています。
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